コロナウイルスその10

4月7日緊急事態発令評価~休業補償は待ったなし!

下記、拙文を書き始めたのは、本文、冒頭にありますが、東京での新規感染者が、緊急事態解除・東京アラート解除以降初めて50人の大台を超え55人となり、偶々、その日に、専門家会議が廃止されるというニュースを尾見理事長等が全く知らされていなかったと言う、6月24日でした。
そして、翌25日の貴番組で、堤キャスターが、コロナ対策に関わる“政策責任”の所在が曖昧になることへの危惧を喚起され、その後の地デジ番組で、星浩キャスターが、いずれにしろ、“緊急事態宣言・解除”にかかる一連の評価を新しい“分科会”で、キチンと為される様に要望されていたと思います。

そして、その後、第二波の襲来が鮮明になって来たのにも関わらず、再度の緊急事態発令が必要なのか不必要なのか、経済への更なる打撃への配慮があってか否か、あやふやな対応対しか見られないのは、正しく、この“緊急事態宣言・解除”にかかる一連の評価がなされず、“政策責任”の所在が曖昧になっているからだと思われます。

本文、末尾に書いておりますが、コロナ対策における正にMission Creepが起きていると感じざるを得ません。

貴番組において、“延々”とPCR検査等議論される様に、“根”は深く、複雑に絡み合っており、“クーデーター”は非現実的である民主主義国家であるこの国においては、、メデイアが、一つずつ、事実を追求・解明・指摘・世論を形成されていくことに期待するしかありません。

貴番組の、益々のご発展に期待する由縁です。

駄文長文、乱文ではありますが、堤キャスターへの最後のエールとさせて頂きます。

前略
本日(6月24日)の東京での新規感染者が、緊急事態解除・東京アラート解除以降初めて、50人の大台を超え55人となり、第二波襲来の恐怖・懸念・論調が一段と喧しくなってきたと思っていたら、専門家会議が廃止されるとの事であり、その事を、偶々記者会見をされていた尾見理事長等が全く知らされていなかったと言う。


この24日の都における50人超えの新規感染者数は、コロナ“第一波”(?)の“収束“(?)過程においては、緊急事態”満期”(?)直前の5月5日の58人以来であり、同第一波拡大過程においては、図には表れていないが3月28日の63人以来の数字である。
都における新規感染者数は0を記録した事はこの間全く無く、最低数は、5月25日の緊急事態解除宣言前の5月23日の2人であり、図の7日移動平均線も同日の6人が最低となっている。
その後、都アラートの要である20人/日の新規感染者数は~何故この20人と言う数字が基準となるかは明確に説明は為されていないと承知するが、その意義は、5月7日既メールの通り、“現状”における都のコロナ重症者受入れ可能人数、即ち、医療供給体制のキャパシテイによることは明白であろう~5月29日の22人以降、断続的に破られるが、都アラートの意義自体が問われる様にもなり、7日移動平均線がギリギリ20人以下であるからか、“総合”的判断により6月12日から都アラートは解除され、「レインボーブリッジや都庁のライトアップも11日23時に赤から虹色に戻っ」た。
しかし、その後、20人以下の新規感染者数になった日は17日の16人だけで有り、この間、7日移動平均線も増加を続け、この24日には、38人となっている。
そして、正しく、この様な日に、西村大臣が専門家会議の廃止を公表した事になるが、今後は「特措法(新型インフルエンザ等対策特別措置法)との関係をより明確にするために位置づけを改め、新型インフルエンザ等対策有識者会議のもとに、新型コロナウイルス感染症対策の分科会を置く」方針を示した。
これは、新型コロナウイルス感染症対策本部のもとに設置されていた専門家会議が「新型コロナウイルスに関する政策を決定されているように見え、その責任を専門家に負わせているといった批判の声も上がっていた。」(6/25(木) 11:27配信BuzzFeed)からの様である。
しかし、丁度、日本記者クラブで会見を開いてた尾身茂副座長が、『この件について、「私はそれは知りません」と明言。専門家会議としては「役割を明確にしてくれ、他の社会経済の人を入れてくださいということを申し上げたことはあります」と語った。』との事である。
これらを受けてかどうかは判然としないが、さすがに、西村大臣も、『「2月の段階から、クルーズ船への対応などアドバイスを受けるため、もともとあったアドバイザリーボードを法律に基づかない専門家会議として位置付けて設置をした。しかしこれは、特措法以前に設置されたもの。今回、感染症の専門家だけではなく、色々な知恵を結集すべく、法律に基づく分科会を新設して、発展的に移行していく。衣替えという言い方がいい。しっかりと連続性、継続性をもって、専門家の一部の方には参加してもらう」などと説明したうえで「私が『廃止』と強く言い過ぎたと反省している」と述べた。』(6/28(日) 12:24配信AMEABA TIMES)と、言う事である。
確か、西村大臣は、所謂、緊急事態解除か自粛要請解除か、大阪府知事が独自基準を作ると公表した折、不快感?を表明するも、後日、修正か和解か協調か発言されたように記憶する。
が、廃止か衣替えかはともかく、組織変更する“意”は何なのかと言えば、上記発言からは、「法律により依拠した、より総合的組織」にする、と読める。

この点、25日の貴番組では武見議員が「大臣のより強いリーダーシップが発揮され、より強力なリスクマネジメントが期待される。専門家会議の方からも(上記のように)要望がだされており、検討してきていた結果」だとコメントされていたと理解したが、堤キャスターは、正に大臣公表の際に、上記専門家会議が日本記者クラブで開催されていた点に着目し、専門家会議と“政府・厚労省”との距離感は否めないとし、結果、コロナ対策に関わる“政策責任”の所在が曖昧になることへの危惧を喚起されていたと思う。
そして、この点については、その後の地デジ番組で、星浩キャスターが、いずれにしろ、“緊急事態宣言・解除”にかかる一連の評価を新しい“分科会”で、キチンと為される様に要望されていたと記憶する。

上記の意見・見解の差異は、「より良い組織に改善して行く」と言う観点にたつか「まず、現行組織の不備な点を明確にする」という観点にたつか、と高尚的には区分けし得ると思われるが、諮問委員会と専門家会議は尾見氏を接点に良く耳にしていたが、有識者会議とは余り目にしてはいなかった。

そこで、添付の総体組織表に、これら会議体の一覧表を「特措法(新型インフルエンザ等対策特別措置法)」を中心にまとめてみた。

で、件の専門家会議は表右側、2段落目に(読めぬとは思うが)、前述「新型コロナウイルス 感染症対策本部」の決定の基に2月14日付けで組織されている。
そして、その下にある通り、2月16日以来6月19日まで17回開催されており、活発な活動が行われ、従って、「新型コロナウイルスに関する政策を決定されているように見え」たとも受けたられているようであるが、その12人のメンバーの内、脇田座長や尾見副座長等黒太字で記載した方達は全て医学関係者であり、緑字中山氏は弁護士・青字武藤氏は公共政策学者である。

先に西村大臣の「厚労省のアドバイザリーボードのような位置づけの感染症の専門家の皆さんの会議」との論評があったが、確かに、厚労省の「専門家会議の見解等」に係るホームページを見ると、始めの2月7日及び2月10日の見解は「アドバイザリーボード」と明記されている。しかし、それ以降は「感染症対策本部の決定で、その下部組織として設置され」た専門家会議と表記されている。又、専門家会議の「庶務は、厚生労働省等関係行政機関の協力を得て、内閣官房において処理する」となっており、その開催状況等は内閣官房のHPにおいて公開されている。
従って、端緒的には“アドバイサリーボード”の存在があったとしも、その事を組織替えの理由とする事にはいささか無理があると思われる。
また、「法律に基づかない専門家会議として位置付けて設置をした。しかしこれは、特措法以前に設置されたもの」とも述べられているが、これも、「改正後特措法という法律には基づかないが、専門家会議として、改正前特措法に基づく感染症対策本部が位置付けて設置をした。(しかし)従って、これは、特措法改正以前に設置されたもの」と言うのがNews配信された6月28日時点では正鵠を得た発言と言うべきなのではなかったろうか。
そうすると、西村大臣の専門家会議に対する“意”とは、改正後特措法により則した会議とすると共に、医学的専門家立場のみならず「他の社会経済の人を入れて」「色々な知恵を結集」した会議体にしたい、と言う、先の「「法律により依拠した、より総合的組織」という事ではないのかという“読み”とも整合性をもつ。

しかし、この特措法の改正については、そもそも対コロナ戦という“緊急事態”において必要なのか、安保法制における憲法解釈変更論争を持合いに出す迄もなく、当時、紛糾した黒川検事長定年延長における解釈変更だけみても、新型インフルエンザ対策特別措置法における“等”に、「コロナを含む」と見做す乃至解釈することにより、対コロナに特措法を適用していくことは充分可能なのではないか、との議論が巻き上がっていた筈である。

で、結局、法自体が自民党政権下ではなく民主党政権下において成立したものであることを禁忌して否かどうか判然としないが、特措法改正が成立したのが3月13日であった。

そこで、何が改正されたかを新旧比較で見たのが同じく添付の表である。

新日本法規WEBサイトの内容に間違いが無ければ、何も変わっていないのである。
“新型インフルエンザ等”に“ベータコロナウイルス属のコロナウイルス”を見做すと言う事に尽きる。

従って、専門家会議廃止云々の際に“法律”自体は論点にならない、と考える。引き合いに出されるような改正点は見当たらないのである。
そこで、“忖度”して“解釈”すれば、特措法に則せば、「専門家会議なるものは、元々対策本部の下に設置すべきではなく、有識者会議の下に置くべきものである」と言う事になるかと考えるが、その理由については西村大臣は何も言及していない、と言う事になる。

翻って、この専門家会議を根拠づけた新型コロナウイルス 感染症対策本部都は如何なる組織かとみれば、先の表右側1段落目にある通り、令和2年1月30日 閣議決定により「第15条第1項の規定に基づき・・・設置」されている。
この第15条第1項は、(時点的には改正前、内容的には同一の)特別措置法の同項であり「内閣総理大臣は、前条の報告があったときは、・・・臨時に内閣に新型インフルエンザ等対策本部(以下「政府対策本部」という。)を設置」するとあり、「前条の報告」の内容に当たるものが「中華人民共和国で感染が拡大している新型コロナウイルス感染症」になる。
思い起こすと、丁度この頃は、1月27日からの武漢全面封鎖・29日の武漢在住日本人の第一陣帰国・1月25日に「香港でクルーズ船ダイアモンドプリンセス号から下船した乗客が30日に発熱し、2月1日に新型コロナウイルス陽性であることが確認され、同3日に同船が横浜へ寄港した」頃であり、政府としての対策本部の設置は時宜にかなっていたものと思われる。
そして、表にある通り、1月30日~7月3日間に40回開催されており、文字通り、対策本部としての頻繁な活動歴が残されている。
ただ、その記録からは、せいぜい15分間位の開催時間である一方、提出されている資料は、読むだけで、それ以上の時間がかかる筈で有り、所謂日本式会議の典型と思われる。
また、設置期間は、「令和2年3月26日から新型コロナウイルス感染症対策を推進するため必要と認める期間」となっており、これは、閣議決定が“令和2年3月26日 一部改正”となっており、この改正に伴うものと思われるが、その経緯は判然としない。

一方、尾見専門家会議副座長が座長を務める諮問委員会は、表の左側にある通り、先述、今まで余りメデイアに呼称が出てこなかった有識者会議の基に組織されたものであり、この、有識者会議は、新型インフルエンザ等対策閣僚会議の下に組織されている。

この閣僚会議は、表の左一番上にあるように平成23年9月20日の閣議口頭了解によって開催される事になったが、同日の当時の野田総理大臣による第一回会議が15分開催された以外、以降の本年7月3日の第4回迄の3回の会議は全て持ち回りで開催されており、会議としての実態は有していない。

そして、この閣僚会議の平成24年8月3日の第2回の持ち回りで決定された組織が諮問委員会と有識者会議であり、表左側の第2段落の通り、後者は「新型インフルエンザ等対策特別措置法第6条第5項の規定に基づく意見」を、前者は「第18条第4項に基づく意見」を述べる事とされる。

そして、それぞれの意見とは、表中央の特措法の条文にある通り、第6条第5項が「政府行動計画の案を作成しようとするとき・・・の意見」であり、第18条第4項が「基本的対処方針を定めようとするとき・・の意見」である。

そこで、まず、この行動計画であるが、見て見ると、表の真ん中、特措法の条文の下にある通り、策定されたのが「平成25年6月7日・平成29年9月12 日(変更)」となっている。
策定乃至変更時点が古いために、すぐに改正前特措法に基づくものであることは分るので、今回のコロナ対策乃至改正後の特措法に基づくものではないのかと思えば、前述、特措法新旧比較の表に、「新型コロナウイルス感染症を含む新型インフルエンザ等に関する事項として行動計画等に定められている」とみなす事になっている。


件の上表に関し、5/7の既メールにおいて、「予算組換参院予算委員会の質問に立った白眞勲議員が、この様な図を示し、これは、先のSRASの時の模式図と同一で、政府のコロナ対策は、その頃から進歩していない、コロナ線終了後また追求する、と質問されていた」のを見ていたと記述していたが、その時には、「SRASの時の模式図」とは、如何なるものであったかは、知らなかった。

その図が、以下の図であり、そして、その表は、この行動計画の中に掲載されていたのである。(対策本部会議;第12回(令和2年2月23日開催)資料中)


白議員は「その頃から進歩していない」と非難されていたが、少なくとも、「基本的考え方」は、ワクチン乃至特効薬が開発され新型感染症が人間と共存出来る様になる迄は、この様な対策しか無いのではないか、あれば、今や世界で10百万人を超す感染者は出ていないと考える。

従って、非難すべき事があるとすれば、それは、この模式図に描かれていた“行動”が、現実にどれだけ適切・的確に実施されていたか、と言う事になるかと思われ、その一環として、専門家会議の廃止乃至衣替えが行われていたか否かが問題と言う事になると思う。

所で、この有識者会議は、表記載の通り、令和元年12月23日第18回以降開催されていないが、一方の、諮問委員会は、2020/3/27第1回以降5月25日迄8回開催されている。
そして、この諮問委員会の仕事である「基本的対処方針を定めようとするときの意見」を述べたのが、この初回の会議であり、基本的対処方針は令和2年3月28日に策定され、令和2年4月7日に改正されている。

この4月7日の改正が、正しく緊急事態発令に伴うものであり、諮問委員会も同日第2回が開催されている。

この際、諮問委員会に提出された資料の題目を見ると、
第1回が「新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針(案)令和2年○月 日○新型コロナウイルス感染症対策本部決定」となっており、会議時間は1時間半である。
第2回は「新型コロナウイルス感染症緊急事態宣言(案)令和2年4月7日 新型コロナウイルス感染症対策本部長」となっており、同1時間である。
また、それぞれ、別途資料が添付されているが、何れも厚生労働省提出となっている。

これを見れば、基本方針決定・緊急事態宣言に当たり、添付の総体組織の右側の「対策本部」の決定に際し、左側の「諮問委員会」が内閣総理大臣乃至対策本部長に意見を申上げている形式を取っている。

ここで、問題となるのは、諮問委員会に提出されたそれぞれの案を対策本部の何処で作成されたか、と言う事である。
先述、対策会議そのものは、せいぜい15分で終り、本部員は全て国務大臣である。須く、お膳立てをする部署*が必要である。

設置の際の閣議決定の7に「・・・本部の運営に関する事項その他必要な事項は、本部長が定める」とあるので、ここで、定められているのかと思われるが、特定する情報が見当たらないというか公表されているのか否かも判然としないので、分らないが、添付資料は厚労省が作成しているので、やはり、厚労省が(リード)して作成に当たっている、と見ることができると思う。

*通常であれば、会議の事務局で作成されると思われるが、先述、「6 本部の庶務は、厚生労働省等関係行政機関の協力を得て、内閣官房において処理する」となっており、「事務」局として明記されてはいない。

で、どの部署で対策会議の案が作成されているのかは別途、この案の作成、ひいては対策会議の決定に、対策会議傘下の専門家会議の影が濃ゆ過ぎる、と言うのが西村大臣の感触なのであろう。

しかし、この際、もの申すべき諮問員会メンバー20名中、添付新分科会メンバー表の通り、確かに、12名は全て専門家会議メンバーと重なるが、その内2名は医学専門家ではない。

また、諮問委員会単独メンバー8名中5名は医学専門家ではなく、都合20名中7名は経済学者乃至弁護士である。
そこで、十分か否かは別途、諮問委員会自体としては医学関係者だけの意見しか反映させられないという組織構成にはなっていないと言ってよい。

この点、添付の新分科会のメンバー構成を見ると、総員18名中医療関係が10名であり、内6名は尾見理事長・岡部所長等専門家会議メンバーである。一方、経済学者は3名・経済界からは2名と考えるが、経済学者の小林・大竹両教授は元々諮問委員会のメンバーであり、武藤教授は専門家会議のメンバーである。
また、基本的にメンバーは、有識者会議のメンバーから選ばれるが、「内閣総理大臣は、分科会に、・・・学識経験者の中から臨時構成員を指名することができる」となっており、5名が選任されているが、経済界からは川本ANA総研会長だけである。
従って、「色々な知恵を結集したより総合的組織」にはなっていると思われるが、格別、医療―経済半々の組織ではなく、また、経済学者の方も、全く、対コロナ戦に無関係であった方達でもなく、18人中3人という事からも、中々、経済学乃至経済の観点から、その意見をコロナ対策に盛り込んでいくというのは大変な事ではないかと思われ、既に、PCR検査20万人/日体制をかねて主導されている小林教授の持論も直ちに反映されていない、との報道も見られる。(P52比較参照)

所で、この新分科会は、添付表の通り、有識者会議開催の際の閣議決定を7月3日付けで一部改正する形で設置されており、7/6日に第1回会議が開かれている。
その会議時間は、1時間半であるが、標題等も含むが資料として121ページにもわたるものが配布されているようであり、議事概要は公開されるものの、所謂議事録は10年間は非公表扱いとなっており、実態、各委員がどのような発言をし、どのような議論の結果乃至結論が得られたのかは不明であろう。
また、有識者会議乃至諮問委員会同様庶務は内閣官房で取り扱われるようであり、この点は専門家会議とも同一であるが、先の諮問委員会に提出された資料の場合と違い、作成した官庁の名前が記載されていない。
また、専門家会議の提言等は、厚労省のホームページにアップされていたが、当然と言うべきか否か、新分科会の情報は内閣官房のホームページでの公開となっている。

やはり、実態的事務が何処で処理されているのかは、判然としないのである。

この点、添付表の特措法の条文の欄、下に、所謂、ラインでの実務処理にどの組織が関わっているかを、「選択」の記事に基づいて示してある。

まず、厚労省であるが、加藤大臣の下、健康局結核感染症課がその中核組織であり、その権能乃至所管法律は、もともと1897年制定の伝染病予防法であったらしく、文字通り日本の伝染病対策の司令塔的役割を果たし、1951年制定の結核予防法に基づく結核対策時代には、所謂花形部門とされていたという。
しかし、歴史としての結核の衰退、ハンセン病・エイズ等での人権問題等もあり、現在は、1998年制定の(新)感染症法・検疫法・予防接種法の3法に依拠した行政施策を担っている様である。
「選択」に依れば、この結核感染症課の下に、表の通り、“新型コロナウイルス感染症対策推進本部”が設けられ、その第1回会議が1月28日に開催され、同日、新感染症法上の指定感染症にコロナウイルスが政令指定されている。
これは、先の政府としての対策本部が設けられる1月30日より2日前であり、行政としての対策本部では一番早い対コロナ組織設置かと思われ、ラインとしての役割に違わない行動であったと思われる。
もっとも、この時点では既に、中国等国外からの渡航者に対する検査がこの指定無しには強制できないために問題となっており、4月5日付既メール添付文書で、「1月28日、“指定感染症”にコロナウイルスを指定したが、施行は2月7日からであり・・・国会審議で・・・鈴木宗男氏がダッカ事件の折りの福田前総理の超法規的措置に準え、施行時期を前倒しして欲しいとの要請をした」と記述し、その成果か否かは判然としないが、「厚生労働省健康局長名健発01 31第12号令和2年1月31日」として、「同令の公布の日から起算して4日を経過した日に改める」との通達が出て、2月Ⅰ日から前倒しされた事を指摘していた。
更に、この(新)感染症法自体が、先の1897年伝染病予防法並に性病予防法及びエイズ予防法の3つを統合したものであり、先のハンセン病にかかる人権問題等に配慮、強制隔離ではなく入院勧告・入院措置の規定に置き換えられていたが、なお、この規定に膠着する余り、「何故、今に至るまで、件の8割と言われる軽症乃至無症状者の“指定感染症”の入院措置の解除・軽減が、超法規的に出来ないのか云々も当然問われて然るべきになる」とも続けて述べていた。
一方、半年後の今に至るまで、このPCR検査体制乃至その不備・拡充が議論され続けているが、「選択」に依れば、1月16日に武漢から帰国した在日中国人の感染が確認された翌日の17日には、感染研が積極的疫学調査の実施要領を公開していた、と言う。
この感染研は、戦前の東京帝大付属伝染病研究所から戦後の‘47年に東大医科学研究所と分割されて成立したが、爾来、独立行政法人化する事もなく厚労省の管轄下に止まり、ワクチン製造・評価・管理、承認前審査・承認後国家検定等の権能を保持しつつ、厚労省と一体となり、感染症対策に取り組んで来ているという。
そして、この感染研の都道府県レベルの組織が地方衞生研究所であり、各地の保険所と連携し、実態的感染症検査・予防対策等の実行を担っているという。
但し、この地衞研は殆どの政令指定都市に設置され、感染症法の「感染症法発生動向調査事業実施要領」の検査実施・情報センター機関と位置づけられているものの、その設置根拠は'97年の厚生事務次官通達であり、自治体が設置する法的義務を負わず、その設立基盤が弱いとされる。
そこで、関係者はその法的位置づけを求め続けてきており、現状では実現していないが、5月14日専門家会議提言で「病原体検査体制の整備」が盛り込まれたことから、地衞研の“格上げ”が実現するかも知れないと「選択」は記述している。
方や、保険所は旧保健所法により戦前の1937年から設置されているが、戦後GHQにより保健所長は医師に限定され、以降、都道府県が担う保健所の運営に厚労省も影響力を行使出来る様になったと言う事である。
しかし、‘80年台以降、行政改革の組織再編の標的とされ’94年地域保険法への改正の際は災害医療・精神保健等業務拡充を図ったものの、同年の848所から現在の469所と、その数は半減してしまっている。
この点、2月末か3月初めか、ハッキリした時期は覚えていないが、PCR検査が中々増加しない中で、衆院における審議で、帰国者・接触者相談センターへの電話問合せが20万件を超えていると質問されていたと思い、良く保健所の方が対応されている・業務に忙殺されている、と感じた事があった。
そして、表の今ひとつの組織で未だメデイア等で表立って取り上げられていないものが日本臨床衛生検査技師会である。
この会は、実際的にPCR検査等を行う臨床検査技師の団体であり、その会長は’16年の選挙で12万票強を獲得した宮島文彦参院議員であり、その先代は参院議長も務めた伊達忠一氏と言う事である。
この臨床検査技師の平均年収は5百万円前後であるらしいが、その資格は国家資格ではあるもの、所謂独占業務ではなく名称独占に過ぎず、PCR検査機器の操作は「検査技師で無くともできる」(選択)との事である。
しかし、3月4日、PCR検査の保険適用が中医協委員の持ち回りで了承を得た後も、民間検査会社自体が、「厚労省並感染研」以外の検査依頼は受託しない方針~厚労省が許認可権を持つ乃至地衞研が上得意先、はたまた検査体制整備への投資を渋った故なのか~であった事が、総理の言明にも関わらず、PCR検査数が増加しなかった理由の一半と「選択」は述べている。

以上から、何れにしろ、この結核感染症課を頂点とする感染研⇔地衞研⇔日本臨床衛生検査技師会(⇔厚労省)の五者・ペンタゴンが、PCR検査を核とした対コロナ戦争の実働中核組織を形成していることなる。
そこで、「選択」では、臨床検査技師会を除く4者を原子力村”に対比し“公衆衛生村”乃至“パンデミック村”と呼んでいる。
しかし、検査技師会の“政治力”を加味すれば、むしろ“Pandemic Pentagon”と呼ぶのがふさわしい様な気もする。

ところで、対策本部の基本的対処方針が策定されたのが先述3月25日であったが、添付表の中・下の方、厚労省としての基本方針が策定されており、それは、丁度1ヶ月前の2月25日であったと言う。
この基本方針の決定乃至策定過程を見ると、令和2年2月25日に新型コロナウイルス感染症対策本部で決定されており、同日に厚生労働省新型コロナウイルス感染症対策推進本部から各都道府県等の衛生主管部等に事務連絡・周知されている。
先に見たように、対策本部は特措法に基づき設置されており、その特措法には(条文を見落としていなければ)行動計画と基本的対処方針を定めるようにしかなっていない。

而るに、基本方針が対策本部として機関決定されている訳であり、不可解である。
そこで、機関決定された2月25日の対策本部の議事概要を見てみると、
【厚生労働大臣】
一昨日(2月23日)の政府対策本部で、総理から御指示を受けて、今日は専門家会議座長の脇田所長にもお越しいただいておりますが、昨日、専門家会議でも御議論いただき、「基本方針」の案を、関係省庁にも協力いただいて、とりまとめました。
とある。
そこで、更に、2月23日の議事概要を見ると、
【内閣総理大臣】
国民の皆様や企業に対する情報提供、感染拡大防止策、医療提供体制等について、講じていくべき対策を整理し、国民の皆様に総合的な基本方針として早急にお示しできるよう、厚生労働大臣を中心に作業を進めてください。
と議事録の終りの方にあって、確かに、対策本部長である総理が、本部員である厚労大臣に「特措法」には規定されていない「基本方針」の策定を指示している。しかし、この23日の議事録の冒頭には、
【厚生労働大臣】
・・・開催いたしました専門家会合において、新型インフルエンザ対策の基本的対処方針をベースに、新型コロナウイルス感染症対策に関する基本方針の策定準備についてご意見をいただいているところです。
とある。
道理で、23日に総理から指示を受け、25日には出来上がっている訳である。

が、それはそれとして、先の添付表の通り、特措法に基づく行動計画は、平成25年に策定されているが、基本的対処方針は今年の3月28日策定となっている。
従って、上の基本的対処方針とは、行動計画と同時期に策定された旧特措法に基づくものと言える。

そうすると、特措法改正以前の基本的対処方針は対インフルエンザ対策であり対コロナ対策には“法解釈上”適用できない~新型インフルエンザ等の等に含まれない~として、その改正はできないから、それをベースにした、特措法には規定がない基本方針という「名称」で、特措法の対象として対策本部で決定した、と解釈される。
これが、的外れでないとすれば~「等」を厳密に解釈する一方、「ベース」という言葉を補助線に、特措法上に規定のない「基本方針」即ち対応ルールを決定するという柔軟な事務行為をして、それを、各自治体に連絡・周知している、と言う危惧が生じる事にならないのであろうか~コロナを指定感染症とした際の施行前倒し通知の際の法的根拠の不明さに繋がるのである。

所で、比較対象上、では特措法改正後の基本的対処方針は、どの様な経緯で決定されているかと、対策本部の3月28日の議事概要を見ると、厚労大臣が簡単に「感染の事実」を述べた後に、
【西村国務大臣】
昨日、基本的対処方針等諮問委員会において専門家の方々に議論をいただいた上で、新型コロナウイルス感染症対策を実施するに当たって準拠となるべき統一的指針となる「基本的対処方針*」をとりまとめました。
と、何故か、名前入りの記録となっており、正式には「新型インフルエンザ等対策特別措置法に関する事務を担当する」国務大臣として、特措法規定による諮問委員会に意見を聞いた上、取り纏めた旨の記載がある。

*対コロナ対策のために「新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針」と言明してある故、旧基本的対処方針の改正となっていない事は先述、旧版が如何になったかは、ネットサーフ上では確認できず不明である。

ここで、今までの文書の中で初めて「事務」と言う言葉が出てくるのであるが、その点は別途、上述、「基本方針」と「基本的対処方針」の内容の差異は何であるかと言う事になるが、充分精査してはいないが、キーワードで捉えれば、「基本方針」においては“クラスター対策”であり、「基本的対処方針」においては“3密”であり、その4月7日改正版においては文字通り“緊急事態宣言”であると考える。

実は、“厚労省”としての「基本方針」が存在すると言う事を知ったのは、件のクラスター班が如何なる根拠で組織されているかを見ている内に、この『「基本方針」にあるクラスター対策を担うために、対策本部の下に設置した』との結核感染症課のプレスリリースを見いだしたからであった。
そして、「基本方針」には、医療提供体制・医師が必要と認めるPCR検査・外出を控える・手洗い、咳エチケット・マスク着用等々現在に至る迄延々*と十年一日の如く議論されているテーマは基本的に網羅されている
*“基本方針”としては全く間違いないと誰しも考えると思うが、不思議な事は、未だ実際的なものにならない、と言う事である。為に、以降、延々と書き連ねる事になったのだが!

但し、この基本方針には、未だ、「三つの密」と言うワードは現われない。

従って、この密閉・密集・密着と言う概念乃至組合又は語呂合せは、基本方針から基本的対処方針が出来る1ヶ月間における日本のコロナ対策の進化を象徴的に示すものでもあるかも知れない。~しかし、その実、基本は、個人の行動に感染拡大抑止の効果を期待する、と言う事であろう。

実際、5月25日の“緊急事態解除宣言”において、総理は声高らかに“日本モデルの力を示した”と述べたのに対し、桝添前都知事が「日本モデルとは何か・・・(韓国のドライヴスルー方式のPCR検査の様に)世界に輸出出来るのか。要は、国民が努力したこと・・・生活慣習が効いたのだ」(中日スポーツ;5/25)と批判している。
さはさりながら、この総理の言う日本モデルを上のキーワードで表せば、
  クラスター対策 → 三つの密 → 緊急事態宣言
と言う事になるのではと思われる。
そして、これに対比される“平均”的海外モデルは、
PCR検査 → Social Distance → Lock Down
と言う事になると考える。

が、それは、また、後述する事(P51)として、現実対コロナ戦を担う実務・ラインとしての西村大臣サイドの内閣官房における組織を添付表で見てみると、
まず、新型インフルエンザ等対策室がある。
そもそも、特措法は、2009年の新型インフルエンザの流行の際に、先述の感染症法・検疫法だけでは各省庁間にまたがる対応が出来ず制定された経緯があり、政策決定を、医療は厚労省・その他は内閣官房新型インフルエンザ等対策室で担当するという二元体制になったと言う。
その点、実は、添付表の右側閣僚会議。左側の専門家会議に関わるものは、この対策室のホームページで見出したものであった。
そして、この特措法改正(3月13日)に伴い設置されたのが、コロナの冠称を持つ新型コロナウイルス感染症対策推進室(3月23日)である。
今日(7月15日)の貴番組で武見議員が同室には既に70名余のスタッフがいると話されていたと思うが、先の「基本的対処方針」が決定されたのは3月28日であり、3月6日に西村大臣が“安倍総理より、新型コロナウイルス感染症対策の担当大臣に任命されました”(大臣HP)とは言え、その事務処理が推進室スタッフだけによってなされた、とは思われず、やはり、対策会議ラインに属する、従前の厚労省―専門家会議のサポートが必要なのではなかったと推測する。

以上、長くなったが、対コロナ戦に係る本部組織―実行ラインの組織を全体的に見てくると、6月24日における西村大臣の「専門家会議廃止」言及は、対策会議―厚労省―結核感染課に“属する” 専門家会議を、特措法事務を所管する大臣が、閣僚会議-有識者会議(―諮問委員会)―分科会とし、実質的に内閣官房―推進室で、(まずは)対コロナ医療の政策決定乃至その権限も行使する・一元化する事を目的としたものであった、と言えるのではないかと思われる。~冒頭、6月25日の貴番組では武見議員が「大臣のより強いリーダーシップが発揮され、より強力なリスクマネジメントが期待される」と発言された、その通りの事ではないかと理解される。

しかし、添付表に記載の通り、厚労省には新型インフルエンザ等対策有識者会議が存在し、その座長は岡部所長であると「選択4月号」には記載されている。
この厚労省サイド有識者会議は、この「選択」記事以外では目にした事がなく、厚労省のHPで見たところ、平成24年から昨年末までに11回開催されている所から、コロナ対策とは全く無関係の様である。
しかし、先述、西村大臣が言及した「アドバイザリーボード(AB)」が、有識者会議を引き継ぐように、今年の2月から開催されている
厚労省HPでみても、このABがどのような根拠で設置された組織かは判然としないが、その構成員9名は、添付新分科会メンバーの通り全て、専門家会議のメンバーである。
従って、このABが、有識者会議のコロナに関する“後身”であり、専門家会議の“前身”的位置づけにある事は間違いないと思われるが、興味深いのは、このABが、添付表の通り、7月14日に再会されていることである。
「政府専門家会議・・・が廃止されたため、「第2波」に備えた厚労省の施策に助言するため再開した」(毎日新聞2020年7月14日)との事であるが、先述、厚労省HPの「専門家会議の見解等」と内閣官房HPの専門家会議の開催状況資料等を見比べると、必ずしも、両者が一致する事はない。
特に3月2日の持回りで開催された対策会議につき、内閣官房HPでは、資料中の西浦教授が算出されたピーク時感染者数の算出式が掲載されているのが特徴的なのに対し、同日付の厚労省HPでは、「クラスター対策班が分析した内容に基づき、専門家会議において検討した結果」として、「北海道で実施すべき対策」として既メール5/7付けで載せていた西浦教授の「SDの感染拡大抑止効果を表現する模式図」が示されている。

この様に、厚労省サイドと内閣官房サイドでの専門家会議を巡る扱いは、“違い”を見せているが、この「専門家会議の見解等」について、委員の武藤教授は「2月中旬ごろ、政府・・・の危機感が薄い・・・ように見えた。それを見て、『見解』を出してはどうかと提案したところ、・・・厚労相の後押しも得て出すことになりました。」と述べており、また、押谷教授は「クラスター班は担当の課長が指揮をとり、僕ら・・・あくまで分析するだけで、僕や西浦さんが・・・仕切っている・・・ことはできません」とも述べられている。(「週刊新潮」2020年7月9日号)

この様に、見てくれば、組織体自体が、有識者会議であれ、アドバイザリーボードであれ、対策本部下の専門会議であれ、閣僚会議下の分科会であれ、コアーメンバーに変化はないわけであり、武見議員が「大臣のより強いリーダーシップが発揮される」様に、専門家会議が“衣替え“された、とのコメントであったと思うが、”衣“の下には、固い”Pandemic Pentagon”の結束が結わえられているのが垣間見られるのである。(前段、組織総体、終)


翻って、冒頭、50人を超した東京での新規感染者数は、その後も増加傾向を緩めることなく、7月2日100人超え、9日200人超え、その後、一旦、13日には100人強となったものの、17日には293人と過去最多を記録、都における警戒レベルも4と最大の警鐘を響かせている。
しかし、6月26日、都知事は『集団検査に取り組んでいる「成果の表れであると理解している」とした上で、「専門家の分析でこれは第2波というわけではないということだ」と指摘。医療体制もひっ迫していないとの認識を示した』(Bloom Berg延広絵美)との事であり、このスタンスは現在でも変わりないないと思われ、7月5日の都知事選・同10日からのイベント拡大も予定通り実施された。
このスタンスは、西村大臣・菅長官も同様であるが、“都の問題”発言・7月22日から実施のGo Toトラベルキャンペーンから東京が除外された事等、国・各自治体の微妙な不協和音もこの間析出してきている。
結局、感染者数から見れば、第1波より多い、コロナ終息に伴うであろう“ダンス“とは言えない第2波が来ていることは誰の目にも明らかであるにもかかわらず、”見たくない事は見ない“どこかの国と同じく、余りにも経済的影響が大きかったと感じられている「緊急事態宣言」を発令したくないために、「都の問題」と矮小化したり「重症患者数が10人程度」「医療供給体制は逼迫していない」等政治的発言がこだまするが、すぐに「国の責任」「重症者数は時間軸で増加する」等の反論を受け、その「危機感が薄い」事を批判されているのが現実と思われる。

そして、不思議なことに、5月14乃至25日の緊急事態宣告解除後に聞かれた「緊急事態宣言は壮大な空振りだった」(5/15池田信夫アゴラ研所長)や「8割自粛で感染が減ったという明確な統計学的証拠はない(緊急反論②)(6/12藤井巨大教授)等の論調がなくなった、少なくともネットで私の目に止まることがなくなって来たのである。
しかし、この事は、緊急事態宣言の、正鵠を得たと言うか、正当なと言うべきか、大方の人の首肯しうる評価も為されていない、と言う事にもなっている。
5月25日の総理発言の“日本モデル”も自画自賛なのか否か、何等検証もされていない、目にしていない、と言う事になってしまっているのである。
上述、明確に第2波と言える感染拡大を前に、何となく、「緊急事態宣言」の発令はない、各人の「行動変容」の徹底・「夜の街」の回避・PCR検査の拡充・営業自粛への要望等々の“言い古された”言葉しか聞かれないのである。
無論、病床数は、宣言前に比較し増大はしているが、それも、宣言直後の西村大臣の20万室確保発言はいざ知らず、都での4000床か3000床確保していた筈が、現実は1000床で2000床とか3000床は、段階に応じた確保数と言う事であったり、船の財団の敷地か何かに10,000床設置するとのニュースも有ったはずであるが、続報はとんと入ってこない。
方や、先日、Go Toキャンペーン論議の際にむつ市長が、「4床しか市にないのに、観光客がドット押し寄せたらどうなるか、病院も作られてない、医者の応援も期待できない」と発言されていたと思うが、確か、千葉県の西総合病院であったか、30床を350百万円で増設したにも関わらず何の資金援助もないと言う事であったり、積極的にコロナ患者を受けいれれば入れるほど赤字が増大する。かと言えば、逆に、一般病院は患者数が激減し、こちらはこちらで、赤字と言う事であり、いずれ、病院はコロナと戦う前に赤字倒産しかねない状況という。
これでは、確かに、現状は重症者数が少なく、医療体制は逼迫はしていないと言い得るのかも知れないが、既に都医師会会長は、安穏とは出来ない状況と警鐘をならされていた筈である。
土台、都の言う重症者数の“限度”乃至警戒レベルは100人又は100床であり、先に貴番組で本庄教授が、「都アラートの100床等には何の根拠もない。ワクチンの早期実現も幻想。徹底隔離しかない」と主張されていたと記憶するが、100床はそれこそ4月15日前後に都の重症者ベッドが満杯になった際の数字であり、為に、西浦教授が、40万人死亡シュミレーションを敢えて公表されてSD8割を喧伝されたのではなかったか。
結局、爾来、何の実際的医療供給体制の拡充もなかった、と評価せざるを得ないいと言う事になる。

所で、先の緊急事態宣言批判論は、この西浦教授の40万人死亡説が“実現”しなかった乃至“感染爆発”は起きなかった、もしくは、第1波のピークは4月7日の緊急事態発令前に来ていた。よって、緊急事態宣言は不要であったはずのものであり、経済的打撃だけを国民に強いる事になった。という論理・筋立てと理解している。

そして、その根拠として先の池田・藤井両氏が用いられている図が、以下の


であるが、これは、西浦教授が5月12日に公表されている、と藤井教授は指摘されているが、ネット上ではどうしても見つける事ができなかった。
しかし、これは、既メール5/7で示している以下の図と、全国と東京だけの違いはあるが、基本は同じもので、日数が4/18以降に延長されているものに過ぎない。


両氏の批判論点は、4月7日の緊急事態発令前に、Rtが1を切っており、感染のピークは過ぎていた,と言うものであるが、これは、上の4/8迄の日数表示の図でも同じ事であり、同既メールの通り、
「(5月)4日の貴番組でも指摘されていましたが、図5(上掲図4)から、4月Ⅰ日にはRtは1を切っており、4月8日非常事態発行日には0.5近辺まで下降、「提言」中にも、4月10日に0.5に下がった、と記載してあります。これらの知見が何時時点で何時のRtが得られていたかの記述がない為、評価のしようがないが、少なくとも4月2.3日のRtが4月7日時点で、“政策担当者”の間に共有されていれば、都知事流の“重大事態”局面乃至ギリギリ状態の継続で、“発令”の必要はなかったのでは、暫時様子を注視する、との判断は、貴番組での指摘の通り、あり得た、との評価が出来きると思います。」
と記述済みであり、論点自体は新しいものではない。
この点、大阪府知事は、西浦教授に経緯を表しつつ「5月1日の専門家会議でも“8割削減が十分でない、6割削減では感染者はこのくらいしか減らない”という西浦モデルが登場し・・・それは違うのではないかと僕は感じて、・・・次の波に備えて検証しないまま同じことを繰り返せば、日本は国家として危機的状況に陥ると思う」(「週刊新潮」2020年7月2日号 掲載)と語られた様であるが、正さしく、その事こそがこの拙い文を連ねている訳である。(P54参照)
既メールにおいて、兼ねて、西浦教授は、実態シュミレーションなりデーター・モデル等を公開・公表すべきと書いてきているが、その西浦教授がNEWSWEEK6月9日号に寄稿されている。

で、その記事の中で、西浦教授が添付のモデル(計算コード)を公表(精確にはオンラインのプラットフォームGitHubに掲載)されているのだが、それは年齢別になっているため、やや、複雑ではあるが、基本は、既メールにおいて指摘していたSIR型モデルである。
それで、既メール3/30で掲載したSIRモデルに係る件の論文を改めて見てみると、西浦教授の名前が記載されているではないか
ただ、それにはメールの通り「2006年統計数理研究所、統計数理第54巻第2号461-480、西浦博・稲葉寿」の連名の名前となっており、その当時は、北大の数理専門者とだけしかメデイアでは報道されていなかったと思われ、その後のメールで論文の一部を使用させて頂いた折も、名前にまで気を配らなかった為に、論文の筆者が西浦教授とは、自身が公表されたモデル自体を見るまで気が付くことがなかった,と言う事になる。
で、実は、ネットサーフをすると西浦モデル乃至SIRモデルについて興味があると言うか、どのようにして42万人死亡やSD8割のグラフが描けるのに興味がおありの方いるようで、それらを再現されている方達がおられます。


上図は、神戸大学理学研究科惑星学牧野淳一郎教授が、件のSD8割のグラフを再現されたもので、SD8割等にすれば、グラフの様なカーブを描くことは“数学的”におかしいことはないとされています。
この図の、x乃至yはSIRモデルで言えば、xはIで感染者、yはRで回復者、S即閉鎖人口は1とされているとの事です。
で、牧野教授は、説明にあるようにSIRモデルを“規格化”し、方程式は
   dx/dt = R *(1-x-y)*x-x         ・・・A
   dy/dt = x                  ・・・B
とされているようです。
西浦教授の論文の式は、3/30既メールの通り、


ですから、両者を見比べると、
    β = R (=2.5)・・・A式と上の2番目の式の右辺1項から
    γ = 1     ・・・B式と上の3番目の式から
となっている事になります。
しかし、3/31既メール、添付文章に論文からコピーした以下の式の様に


     R = β / γ
ですから、β =R*γ
になる。
従って、牧野教授のA式は、βをパラメーターとして直接観察するのではなく、Rとγから算出する式になっており、Rとγがパラメーター、データーによって観察・把握すべきものとなる。
西浦教授の論文は、βとγをパラメーターとして把握し、結果として、Rが得られる(手順の)書きぶりであった為、今まで既メールした際のSIRモデル試算は全て、γを一定として、実績値に合わせるようにβ値を算出していたが、そうではないと言う事になる。
で、実は西浦教授が今回公表されているモデル(計算コード)もそうであり、それは、添付モデルの12~14行のlambdaの式のgamma*R0がそれに当たっている。


ちなみに、既メールの通り、SIRモデル自体は再現していても、SD8割等のグラフは手順が分らず再現仕切れていなかったが、この牧野教授のSD8割等のグラフも、それのみが示され手順が書かれていない。
しかし、小樽商大の杉之原氏が『「Excelで描いてみよう!西浦教授のグラフ」というブログで、この牧野教授の方程式によって、そのグラフの書き方の手順を示されているのを見つけた。

そこで、この杉之原氏の手順によって再現したものも含め以下に示していく。


まず、この図は、文字通り、公表された西浦教授のモデルの数字を使い、Sc(~14歳)Sa(15~65歳)Se(65歳~)のそれぞれの人口10万人当たりの数字に置き直してグラフにしている。
何か、西浦教授のグラフと違う。~dSeの山がdSaの山より高いのである。



これがNEWSWEEKにも載せられている42万人死亡説の図である。
そこで、


上の図を作った。縮尺の関係があると思うが、略同一であり、各年齢別のピーク時感染者数も同一の値に近いと思われる。

最初と何を変えたか~各年齢別の感染者数を総人口の10万人当たりで割り返したのである。
もし、西浦モデルの再現に誤りがなく、この10万人当たりの処理に間違いがなかったとしたら、最初の図と後の図とどちらがより適切なのであろうか
~もともと42万人死亡とは単なるシュミレーションでありどちらでも良いと言う事もあろうかとは思うが、『緊急事態は必要なかった』と言う論拠の一つにもなった図でもあり、単なる、計数処理の相違と片付けられない点が残るのではと思う。

そこで、そもそも、42万人死亡とのニュースが流れた際のグラフは上のグラフではなく、4/17付け既メールで添付した以下の日経記事のグラフであ(った筈であ)る。


で、この記事の内容から、『「中国のデーターを基に、感染した成人の0.15%、高齢者の1.0%が死亡すると想定した上で、重症者の49%が死亡すると推計。死亡者数を出していないが、・・・約41万8千人が亡くなる計算になる」と(記事には)書いてあります。西浦教授は、自ら死亡者数の計算などしていないのです。“SD8割”を、呼びかけられたかった』のだとメールに書いている。
これは、「今晩の貴番組で、西浦教授が、総理が発言しているように極力8割でなく、「8割でなければ効果がでない」と発信しておられる、とは初めて知」ったからであった。
そして、このSD8割の根拠のグラフが、続く4/22既メールで探し出した


上のグラフであり、これを牧野教授が再現したものであった。

しかし、このグラフでも「先の40万人死亡とのシュミレーションとの脈絡がサッパリ検討がつきません。」と書いている。

そして、週刊文春 2020年4月30日号記事→BuzzFeed News4月10日夕方インタビュ記事と辿り、続く4/25の既メールで、「3月19日の専門家会議の提言なるものを検索して・・・厚労省のホームページでヒットし」たとして掲載したグラフが以下であった。


この二つのグラフの説明を見ると、「新規感染者数(左)と重篤者数(右)」となっている。
そこで、上の西浦モデルとしてNEWSWEEKで公表されたグラフには「42万死亡推定の根拠」とタイトルを変更されてされたのだと思う。
~と、長々と既メールを辿ってきたのは、この「根拠」図をNEWSWEEK記事で初めて見られる方もおられるのでは思うからである。
そこで、改めてこの二つのグラフを見ると、左の方では、「若い人が、お年寄りの倍くらい感染する」が、右の方から、「しかし、重症となる人は圧倒的にお年寄りで、人工呼吸器が圧倒的に不足」していると読める。
~このコロナ戦の開始直後から、「若い人は、感染しても風邪くらいでたいした事はない。家で静養していれば済む。しかし、高齢者は重篤になりやすいから、それらの為に病床を確保しておく必要がある」と聞かされてきた“基本的対策”を裏付けうるグラフともなる。
しかし、先の4月10日BuzzFeed Newsで西浦教授が「死亡予測や人工呼吸器の数を上回る重症者の数が出るなど、怖い予測が今までよりも多かったのですが、意外にスルーされてしまい」と述べられているように、「その被害想定として推定死亡者数が政府から公表されない事態が続」き、ついに、「4月15日に、何も対策を施さないなかでの死亡者数として約42万人が想定される、というシミュレーションを発表」した、“クーデター”を敢行したと、NEWSWEEKで再言されている。
結局、政策担当者間では情報は伝達されている乃至厚労省等のHPでは公表されているものの対コロナ政策の根拠が一般的には公表されておらず、警鐘が鳴らされていない為に、SD8割が実現出来ない・感染拡大が抑止出来ないとの危機感を西浦教授は持たれたと言う事と考える。
~この様な事態の推移は、情報公開の透明性・補償等なしには国民サイドの自発的行動・自粛は本来ない、期待出来ない筈のものであるが,自粛警察→特措法改正罰則化→緊急事態条項の方向に政治的ベクトルは向いている、かの如き疑念を掻立たせるものだとも言える。
そして、この様に見てくると、「42万人死亡の根拠」のグラフとして各年齢別10万人当たりグラフでは「ややお年寄りの感染者が多くなるが若い人も同様に感染する」となり、続く右の重症者のグラフの「しかし、重症となる人は圧倒的にお年寄りで、人工呼吸器が圧倒的に不足」への繋がりのインパクトが、公表された総人口10万人当たりのグラフに比べ、弱くなっていく事は否めないであろう。
この点、各年齢別に区分したモデルである限りにおいては各年齢別人口10万人当たりのグラフが自然な流れと思うが、危機感涵養の観点からの配慮はあっても不思議ではないし、また、数字的根拠・誤りがない限りは、インパクトがあると考えられ総人口10万人当たりのグラフを選考されたと言う事だと思われる。
しかし、この様に見てくると、今、問題となるのは、このグラフが策定された3月29日と言う時点である。
と言うのは、先の4/17既メールで「何故、今になって、西浦教授に、海外のデーターを使えば、1月中旬には出来る様なシュミレーションをやらせて、挙げ句の果てに、政治的に変更して、“極力(SD8割)”等の修辞的言葉が弄されるのか」と書いていたからである。
この点、前段組織総体で見たとおり、厚労省のクラスター班が組成されたのが2月25日で有った訳であり“1月中旬”には無理であったと言う事になる。

尤も、逆に3月29日という時点は、先の“緊急事態宣言”は必要なかったとする根拠である、“第1波”のピークは、3月末乃至4月初めに来ていたと言う、正にその時期に当たる。
そこで、先の実効再生産数のグラフを再掲すると


精確には藤井教授が示すのは上の図の5/12公表版であり、このグラフは、5/7既メールの通り「4月22日提言に掲載されていた」ものである。
とすると、時系列で言えば、2月25日クラスター班結成→3/29、42万人死亡グラフ→4/3、SD8割グラフ→4/7緊急事態宣言→4/15、42万人死亡グラフ記者会見→4/22、上記グラフ、→池田・藤井氏等指摘5/12公表版となる。
先述、「(Rに関する)これらの知見が何時時点で何時のRtが得られていたかの記述がない為、評価のしようがない」と5/7既メールしていたと書いていたが、この時系列を見る限り、1>R値の知見が得られたのは、早くとも4/16日、21日までの間と言う事になる。
従って、Rが1を切っていたから緊急事態発令は必要なかったと言うのは結果論になる。
しかし、5/12版では、既に、緊急事態発令1ヶ月の期間経過後であり、藤井教授の指摘される「緊急事態延長支持は大罪」との根拠とは一応なり得ると考えられるが、この点は後述の事とする。


上図は、先の牧野教授の“規格化”された方程式に基づく、杉之原氏の「Excelで描」く手順により再現したものであり、SD8割実施後の新規感染者激減が再現された。
これに従い、公表された西浦モデルでの再現を行ったのが、以下である。


各SD時の感染削減効果を示すグラフが“見事”に再現出来た、と思われる。
そして、前掲(P25)の西浦教授の公表されているグラフで、何故、SD6割りで、平行になっているのかが理解出来ていなかったのであるが、R=2.5とすれば、R*(1-0.6)=1となり、感染者数は変化しない、
西浦教授のグラフはR=2.5で計算されていた、と言う事が明瞭になったのである。~この点、前掲牧野教授のグラフでは、→線を入れておいたが、SD6割・R=1で平行になっていないのではと思われ、何等かの理論的・計算方法の相違があるのではと推測される。
そして、実は同じように、このSD時における曲線には、“見事”に再現とは書いたが、西浦教授のグラフとは違いがある。
それは、良く見ると、SD実施後キックバック、感染者が増加後、減少して行くのである。
それを修正したのが、以下の図である。


先述の各年齢別の総人口10万人当たりの、SD8割実行時におけるグラフとなるが、キックバックはなくなっている。
何故かと言えば、そもそも、SD時のグラフは杉之原モデルの手順において、SDが実施された時からRをSD割合に応じて減少させる。
即ち、β=R*γであるから、β値を変化させるのである。
また、式そのものは微分式~なめらかな曲線であるから、t=1日を分割するのである。
杉之原氏の再現手順では、30日を500回計算するので、1回当たり0.06日の割合であり、西浦教授のモデルでは、添付の表の第1項、DT=0.1となっており、1日を10分割で計算する様になっている。

これに対し、当初の再現グラフでは1日1回の計算で行っており、SD実行した次の回の計算式におけるS(t+1)が、SD実行時のS(t)より大きくなり、為にキックバックが生じていた。
tが充分dtにならないと“滑らかな”曲線にならなかったと思われる。~前述日経記事計算では死亡者数418千人となっているが、DT=1では432.6千人、DT-=0.1では427千人と計算される。

そこで、一応再現が“出来た“と言って良いかと思われるが、実は、出来ないというか、理解できない点が残っている。
それは5/7既メールにおいて、示した以下のグラフである。


感染日感染者赤線と報告日感染者青線が、SD対策無しでは、報告日数だけ右方シフトするのに対し、SD対策後の点線では、平行移動せず、しかも、SD対策前から感染日感染者数より少ない波型、報告日感染者青点線を描くかと言う事である。

また、5/18既メールで、『「SIRモデルを知った(そもそもの西浦教授の)論文であるが、中程。このPについて、「サージカルマスクによる予防効果が0.7」とすると、SARSのR0が3であるから0.9に成り、感染防止効果があるとされている。SD8(割)は、R0=2.5からの言わば逆算で有り、既メール5/7に「このPが、SDそのものと直接的因果関係・同値関係にある、という前提・仮定になっている、と思うのです。論理的に証明されうるものではなく、実験科学乃至社会科学的にしか証明されない、と思われる」と書いた由縁で有り、今回の自粛要請は、正しくこのP=SD8(割)の因果・相応・同値関係を“実証”する実験科学乃至社会科学であった訳で有り、論文を書かれる義務が有ると言えるのではないかとも思います。』と書いたが、SD時グラフを描く際に、ダイレクトにRを減少させ結果βが変化し感染者が急減する、と言う方法が、単に机上の計算だけとは言い切れない気持ちも残る。~同じ5/7既メールにおいて示した下の200人モデルとは明らかに違う。こちらは、何等かの確率的衝突モデルと推測される。


更に、具体的に言えば、42万人死亡グラフは、単にシュミレーションであったが、そもそも西浦教授のSIRモデルに興味を持ち始めたのは、既メール3/31の「大阪~神戸外出自粛要請の元の基礎データー・・・4月2日までに、80人の増加から、3374人に感染者が増える」また、3/26既メールの「厚生労働省のクラスター対策班が21日に都へ示した分析結果は、現状の対策が続けば都内では4月8日までに患者が計530人になる」との事であった訳で、爾来、この予測に関わる検証・分析・評価をして公表すべきだと述べてきているが、それらを目にした事はない。
尤も、先の組織総体の表に示した通り、山中教授等が参画され、スパコンを使ったSD8割効果等を検証するコロナ対策分析有識者会議が設置されたとの事で、緊急事態宣言の実際的感染抑止効果は、こちらの方から今後出てくるものかも知れない~なお、その表では、内閣官房というか西村大臣傘下の位置づけにしてあるが、ネットで探す限りにおいては、設置に係る法的根拠等が分らなかった為に、自ら発表された西村大臣所管としてある。

一方、NEWSWEEKへの寄稿では「被害の想定と取るべき対策をめぐるコミュニケーションについての問題点を改めないといけないと考える」と述べられているが、コミュニケーション不足と言うか説明不足と言うか、その最大のものは、件のSD8割時のグラフである。これに関しては、既メール5/7に『今、この記事を見返すと、西浦教授が「試算をまとめた」とはあるものの、何時何処で公表したのか書かれておらず、しかも「東京都の状況を踏まえて今後の感染者数を試算した」とある。~政府・専門家会議等の公式見解か個人的見解か、肯定・否定等何等聞いた覚えはない。40万人死亡説の場合は、「15日午前8時頃、厚労省」において、記者会見を行っていることが、日経記事及びY TubeにアップされているANN NewsのCaptureから確認出来る~但し、この時は、官房長官により、一専門家の発言であり、と政府・厚労省の公式見解ではないとされている、のはご案内の通りである。が、何れも、総理緊急事態発令前夜会見前、緊急非常事態全国拡大前夜に公開公表されているのである。』と述べ、更に、『しかし、前者の場合は、総理は「2週間で1万人、1ヶ月で8万人」との発言をされた』事と奇妙に数字の整合性がとれており、既メールを出し続けた勘違いを起こしたのである。~SDの“即効性”や“2週間”のラグ等その後判明し、全くの勘違いであることは幸い理解したが、添付の組織体制を見ながら探しても、この様なグラフは内閣官房・厚労省のHPの何処にも見つからず、「クラスター班」として「記者クラブ」向にだけ公表されたのか、何故、SD8割りのグラフのピーク時が6000人という数字であるのかも皆目不明である。

そして、先述、緊急事態宣言の延長はR<1から見て、不必要であり、西浦教授の大罪であるとの批判からみると、同じ5/7のメールで『今日(5/4)の総理会見・・・(の自粛要請)内容自体は、5月1日の専門家会議の話しと大差なく・・・感染者数は増加から“明確な減少”には入っているが、「期待通り」ではなく、・・・コロナウイルスを押さえ込む必要があり、そのために「更なる自粛」が“国民”に求められる』と言う事であるが、『で、この「期待通り」とは、何を意味するのか』と述べ、「実は、NHKのニュースに西浦教授のコメントが出て・・・都知事のゲストとして・・・感染者数自体は明確に減少し始めている。しかし、減少速度自体は、理論上の想定より少し遅いのは明確」と述べられていたと続け、このメールにおいても「西浦教授はモデルを公開し、単なるシュミレーションではなく“予測”“予測値”を公開し」どのような理論上の想定になっているか、もっと、説明責任乃至コミュニケーションを取るべきだと書いている。


そして現実には、グラフの様に確かに4月27日には新規感染者39人と緊急事態発令以来最低の人数を記録したが、翌28日には再び112名、5月1・2日には165名・158名と再び大幅に増加しており、GW中の感染者が判明する2週間後程度の事を考えれば、1日の専門家会議で“延長”を提言せざるを得なかったと思われる。
しかし、それ故に、何故、“理論上の想定“を明瞭にして、”まだまだ安心しうる状況でない“事への理解と自粛への協力を要請しなかったのかと、尚更、思われるのである。
で、この様に見ると、再掲したR値の5/12版で見ても日付表示はグラフの通り4/18で、4/23迄のRしか読み取れず、実質延長決定された5/1の意思決定に影響を及ぼす事は出来ず、やはり4/8版と同様の後付けの論拠となる。


ここで、よく言われるように感染者の感染日は2週間前だと言う事で、先の都の新規感染者数の日付を2週間前の日付にした。


これを見れば、確かに藤井氏や池田が主張されるように、4/7の緊急事態宣言後の山はそれ以前の山を越えてはおらず、感染のピークは発令前であった事は言いうる。
しかし,4月10日(報告日24日161名)と17/18日(同5月1/2日、165/158名)の二つの山以降急激に感染者が減少しているが、この減少に緊急事態に伴うSDの効果がなかったのか、発令無しでもR<1から自然に起こりえたのか

先の各SD時のグラフを見て戴きたいが、SD6割即R=1では平行横ばいである、SD=8割即R=0.5で急激に減少する、SD=6割5分即R=0.875では減少は緩やかに止まる。

上の4/18付けのグラフを見ると、4/23ではR=0.8位に見えるが、前日付のグラフの5/5前後の感染者は前の山の160前後から87・58・38名と日を追って急激に落込んでいるのである。

また、5/7に延長された発令が解除される25日までの感染者数は、略抑制されていたが、それ以降、移動平均線の通り上昇基調に変じ、特に6/11以降の都アラート解除以降は、「夜の街」「若い人」等特徴付けられながら、冒頭、24日には50人の大台を超え、7月17日には過去最大の293人となっている事も事実である。


これは、厚労省のHPで見た、5月29日付け「専門家会議の見解」の中の一葉である。
移行した分科会乃至再開したAdvisory Boardの資料の中にはRに関するものは見当たらないので、公表されている最新のRに関する情報かと思うが、これを見れば、4月初め以来0.8程度で推移していたRが24日位に一旦1近くまで上昇、その後5月3/4日当たりで0.2位に減少後、7/8日から1を超す値にまで急上昇している事が分る。

これに応じた感染者数は、前日付のグラフで、4/21の後、一旦、小山を作りながら5/5~12に向け医療基準・解除基準の線を切って減少していく所に対応している。
そして、この前日付ベースで一番感染者数が減少したのが5月8/9日の3/2名であるが、同時にその時点ではR>1伴っていた訳であり、10日は14名と急増する。
実は、この10日は、報告日ベースでは5月24日であり、25日には上のRが0.2に下がる過程での報告感染者数の減少を受けて緊急事態宣言が解除される事になる。
更に、この10日から25日(報告日6/8)までの平均感染者数は16人であり、20人という医療基準も下廻り、都アラート事態も解除される。
しかし、その後は、26日~6月10日(同6/9~6/24)間の平均32名と倍増、11日~26日(同6/25~7/10)間は同101名と3倍増となり、27日~7月3日(同7/11~7/17)間では同203名と1週間で倍増のペースとなっている。

この様に、R乃至前日付ベースで見る乃至議論をするとすれば、R<1であった故緊急事態宣言は必要なかったと言う事が成り立つ代わりに、R>1であったから、緊急事態宣言延長支持は大罪ではなく、全面解除・都アラート解除はすべきではなかったと言う事になる。

結局、「見解等」におけるRは、実際のデーターから得られた“測定値”であり、結果、後追いの数字にしかなっていない。~このRで議論すれば、結果論にしかならない、と言う事である。

従って、Rの予測値、乃至、先の大阪3374人/東京530人に係るモデル・理論上の“想定”等々を西浦教授乃至対策本部乃至閣僚会議乃至内閣官房乃至厚労省乃至関係部署は透明性を持って情報公開すべき、と書き連ねて来ているわけである。
そもそも、緊急事態乃至Lock Downを行っても、インド・カリフォルニア・欧州各国等々感染爆発・オーバーシュートを防げていない。
緊急事態発令の必要性云々の前に、やった事の効果をキチンと検証すべき~先のR<1だから自然に感染者数1~2名になったのか、SDの効果は何もなかったのか~であり、その点山中教授の参画されている、有識者会議は極めて重要であり、組成する価値がある!組織と考える。(中段前部 モデル論終)


ここで、やっと本題のこの緊急事態発令の評価は如何にすべきなのであろうか
この評価をキチンとやっていないから~SD効果の検証ではない。この検証はSDと言う数理モデルを基礎とした科学的手段の効果・理論の現実適合性を問うべきものであり、緊急事態発令の評価は、このSDを含むコロナ対策全体の検証で有るからである~明確な第二波が到来しているにも関わらず、何となく二度目の発令は出せない。で、都の問題だ、特措法の改正だ、特殊業種の問題だ、各自の自覚だ、等々コロナ来襲以前の問題のぶり返しになっている。

で、この評価乃至その観点については既メール5/18において語り尽くしているのだが、オーバーシュートオーバーシュート、即ち感染爆発を防ぐ為の緊急事態宣言であったのか医療崩壊を防ぐ為のものであったのか、本来の意味乃至普通の語法のオーバーシュートを防ぐ為のものであったのか、尾見理事長流乃至特殊日本的語法のオーバーシュートを防ぐ為のものであったのか、と言う事である。
先の藤井京大教授は、『「8割自粛」を4月7日に導入した時の最大の狙いは何だったかというと、それは明確に「感染爆発(オーバーシュート)」を止めることでした』と述べられており、その後に「しかし幸か不幸か、それはいわゆる「空振り」(https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/60539)に終わることになります。つまり、8割自粛を言い出して数日後には感染者が減っていったのであり、少なくとも感染爆発を防ぐには8割自粛をしなくても良かった、ということが分かってしまったのです」と続けられ、池田氏の「空振り」論文を引用されている。
しかし、既メール5/7で指摘したように、池田アゴラ研所長は、その5/2「西浦教授は専門家会議から撤退せよ」の中で、明確に、「安倍首相が4月7日の緊急事態宣言発出の際に述べた目標は、「医療崩壊を防ぐ」であった記述されているのだ。
そして、その「緊急事態宣言は壮大な空振りだった」(5/15)の中には、さきの4/18付けR推移の図を引用して「3月27日が新規感染者数のピークである。・・・緊急事態宣言は4月7日に発令された。しかし上の図でもわかるように、緊急事態宣言の前後で新規感染者数の減少率は変化していない。つまり緊急事態宣言の8割削減には感染を減らす効果はなかったのだ」と結論づけられている。
この減少率の変化についての言及自体は、SD即効果説への疑問として共有出るものである。~先述各SD時のグラフを再現するに当たり、手法乃至手順が分らないものを牧野教授並杉之原氏のブログにより、HD時に直接的にR∝βを操作することにより可能となったが、数学的と言うより計算的にはそれで間違いないのかも知れないが、ある意味西浦教授の固執されたSD8割という主張・理論の現実適合性からは、先の通り検証されるべきものと思うからだ。
だが、効果はなかったと言う事は、先述、後追いのR<1で述べた様に直ちに言い切れる点ではなく,同じように検証されるべき事なのである。
そして、池田氏は、『西浦教授は、「何もしないと42万人死ぬ」というシミュレーションを・・・全国の感染速度(再生産数)が1以下だったとき、・・・計算し・・・、政府がそれを採用し・・・「7割から8割の接触削減」を国民に求め・・・日本経済に莫大な損害を与えたが、ほとんど何の効果もなく』、SD8割は壮大な空振りだった、と大要述べられている。
先述、42万人死亡説は、結果的感染ピーク時頃であった3/29にシュミレートされていたものを4/15に公表されていたのであるが、それら個々の事はおいて、池田氏の議論にはややTwistされたような感触を受けるのである。
それは、緊急事態発令=SD8割ではなく、緊急事態発令≠SD8割であって、SD8割は、感染爆発自体がなく壮大な空振りだったが、緊急事態発令自体は、その目的である「医療崩壊を防ぐ」事に成功している、と主張されている様にも感じられるからである。
しかし、もし、そうだとしたら、緊急事態を発令し、具体的にSD8割に変わるどういう対策を取れば良かったか、どういう対策を取るべきであったか、はたまた、単なる外出自粛協力策で十分と言う事であったのか等の議論になるが、無論、そのような主張はされてはいない。(P54参照)

そして、藤井教授は「西浦氏は、本文のグラフに示してあるように、(4月7日以前の)3月下旬から4月上旬にかけて大きく下落する実効再生産数を推計している・・・筆者・・・経済をガンガン回して大丈夫かどうか等を論じているわけではありません・・・そういう話とは別の話として、ただただ「4月7日の8割自粛要請に効果があったのか無かったのか」という一点だけを論じているのです。」と述べられているが、本文のグラフは、自ら「当のご本人であられる西浦氏が5月12日に公表している」と述べられている後日付のグラフである。

そこで、以下のグラフが4月22日提言の前の4月Ⅰ日提言にあった。


一目瞭然、ピークは3月末頃でなく、3/19頃になるのである。
3/25頃以降のR値など持ち合わせていないのである。


あるのは3/24以降右肩上がりに増加していく報告感染者数だけなのである。

Rのグラフは、R測定の為に加工されたグラフなのである。
よって、記述の通り、後付けのRを基に議論しても “SD8割の効果”の検証にはならないのである。
むしろ、5/7既メールで示した以下のグラフの黄色線即ちSD対策を取ることによる効果が顕現する青点線*乃至それに対応するデーター即ち予測値が一般に公表されると言う事までには至らずとも、今度の分析検証有識者会議の用に提供される、または、西浦教授乃至クラスター班において論文乃至検証報告をまとめる、と言う必要があると考える

*P32に示したグラフで、何故赤点線が青点線に平行移動しないのか理解出来ないとした青点線に当たる。


この加工前報告感染者実績値のグラフからは、HD即ちSD8割実行時の後にピークは来ているが、基本2週間後と言われるPDには来ておらず、SD8割の理論上の効果は確認出来ず、故に、山中教授等が参画される分析有識者会議は意義があると先述していた。
しかし、むしろ、西浦教授等が、図の黄色線の予測値~ない筈はないと思うのだが~を公表するなり、その差異分析・パラメーター乃至理論の修正等行われるべきが筋であると考える。
~残念ながら、そのような形で公表されては来ていない。


何れにしろ、後付けのR値により、SD8割対策の効果を否定する事は、藤井氏の「ただただ「4月7日の8割自粛要請に効果があったのか無かったのか」という一点だけを論じている」と言われるものの、「副作用にも関わらず継続し続けるべきだと主張することは到底できない」と言う結論に至るためであることは明白であり、結局、「壮大な空振り」の風圧により、「企業経営を破壊し、日本経済に莫大な損害を与えた」(池田アゴラ研所長)と主張される事になる。(P57参照)
そして、池田氏は、「3月下旬に感染がピークアウトしたのはなぜだろうか」と、問いかけ、「感染者数は3月後半に上がった・・・原因はヨーロッパ型ウイルスの輸入だ・・・(が)それを最終的に止めたのは、外国人の入国を拒否する水際対策」だったとして「緊急事態宣言による行動削減の効果はほとんどなく水際対策が重要」だとされている。
この「水際対策が重要」だとの結論には首肯できる部分がある。
それは、水際対策とは、何を意味するかという事であり、国内を国外から隔離する。即ち、国外との接触を避け、国外感染者との接触を避ける、と言う意味に異ならないと言う事であり、それは、言葉で言えば、国内外SD10割に他ならない。
水際対策をやれば、それは、当然貿易・國際交流に影響が出て、経済的に大きな影響・負担・ダメージを与える。
日本に、世界に、コロナ感染者が出る前に、武漢でコロナが猖獗を~今からみればほんの序の口の感染爆発状況であったにしろ~みた当初から、中国の國際貿易・経済の位置から、世界的景気後退・リーマンショック以上の落ち込みは避けられないと予測されていた筈である。
水際対策は、本質的にSD対策に他ならず、その経済的副作用は“検証”も無しに、問題にならないとする事は出来ないものと考える。

元々、後付けのR値に基づく“3月末ピーク論“の根拠を求める事には無理があると思われるが、その結論が基本SD対策に効果があると言う事であるから、その水際対策も含めた、SD8割対策の検証を待つべきと言う事である。

この様に見てくれば、結局、既メール5/7で、延々述べた、そもそも緊急事態発令は何を目的としていたか、結果、その目的は達成されたのか、何が問題であったのかの検証が充分に納得性を持って為されていないからと断ぜざるを得なくなる。~先の池田氏のブログは5/15日付け、藤井教授の6/12日付けであるから、充分に、緊急事態発令の目的にてらしたSD8割の効果を吟味する事は可能で有った筈であり、“後付けR値-3月末ピーク説”から“SD8割経済ダメージ論”は、緊急事態発令の目的が“感染ピーク抑圧”にあったと言う事を暗黙の前提している、と言わざるを得ない。
池田氏は、自ら、冷徹に首相の発令は「医療崩壊を防ぐ」にあったとされているのだから、その観点から、SD8割の効果を検証されるべきと考える。(中段後部R値論終)


ここまで、ボチボチと書き進んできた今日は、7月31日である。
書き始めた6・24の都感染者が55人で、都アラート解除後初の50人超えで第二波来襲懸念が生じ始めた頃であったが、7月17日の293人、23日の366人を大幅に超える今日の感染者は463人の見通しとなった。
約8倍、倍加日数で言えば約12日である。
前回緊急事態発令時の倍加日数は確か5日と言われていたと記憶するので、この点からの緊急性は未だしと感じられるものの、基数の大きさから言えば、8/12で920人、8/24で1840人、9月初めには3680人となる。~この間36日の累積は57,960人となる。~数字的には、4/7発令前夜と略同じである。

先述、都知事乃至西村大臣は、重症者数が10人内外に止まって来ていた事から“第二波”とは認めてきていなかった。
さすがに、来週(8/3)からの飲食店時短営業を要請する等、危機感を強めているが、都医師会長は、既に“医療逼迫感”を訴え、補償を伴う営業自粛罰則化への特措法改正や、PCR検査の拡充、専門病院の設置等前回発令前夜のDejavu現象を引起こしている。

既メール5/18で訴えた医療供給体制の強化など出来ていないのである。

先述、都アラートにおける重症者数100人の設定は、5/7メールにおいて、西浦教授のシュミレーション、都医師会会長・当時の重症者数等から推定したものであったが、図らずもそれが裏付けられたものの、それから、早3ヶ月、いや、2月来とすれば既に半年!

医療供給体制の実質的拡充・強化は進んでいないのである。

7月22日日経は、「軽症者施設、23府県不足」として、都の場合1529人軽症者・無症状者にたいし371人の不足の数字を報じているが、その基は、厚労省の第二波推計モデルに依るとしている。


上表は、7・14の厚労省Advisory Boardの参考資料として添付されているものであるが、下左の囲みの中の一番上に「新たな患者推計の手法に基づき」とあり、それが何であるか疑問に思っていた。
22日日経記事は、この「推計」に基づくものかどうか定かではないが、この「推計」を探したところ、6/19日に持回りで開催されている最後の専門家会議で提供されている以下の図表(印刷サイズにより一部欠損)を見出した。


これも小さくて判別不能と思われるが、ピーク時197~1084人の重症患者発生を予測している。
この予測は、西浦教授が第一波による「実際の流行曲線を使用した検討」を行う事により作成されたとの事であり、生産年齢人口と高齢者を中心とした二つのパターンの内、前者に当たるものである。
また、試算の前提として、アラート発令基準からから各1・3・7日遅れた実際発令のケースに分け、更にRが1.4・1.7・2の場合を表しているために、上表の様に細分されたものとなっている。
ちなみに、アラート基準とは、人口10万人当たり週2.5人の感染者数を想定されたとの事であり、東京換算では、344人/週・50人/日であり、正に、冒頭6/24で基準をオーバーしていたことになり、7/23乃至昨日30日は、週当たりの基準を1日でオーバーしてしまっている事になる。

そもそも日経の記事は、軽症者数ベットの不足を指摘しているものであり、その数字が上表の何れを算出根拠としているものかは不明であるが、何れ、上表における重症者数は、感染者の7%内外を予想しており、現状迄の重症者数とはかけ離れている。それが、アラート乃至緊急事態発令には踏み切れない一因となっているという事は推察出来る。

しかし、注目すべきは、その前の表の医療体制整備の表であり、上から3行目に「新たな医療提供体制整備は、これまで同様、都道府県が主体となって整備することを基本とする」と、堂々と謳われている。

5/18既メールの通り、4/7の緊急事態発令前夜、「関東で1万室、関西で3,000室を確保」と、総理は発言している。
また、同メールにおいて、「5/1に厚労省が公表しているコロナ用病床数」の表を示し、「ピーク時要確保数が31,077で、確保数が14,486である。別途、ホテル等可能室数16,113とある。東京は4,000、2,000、2,865」であるとし、「この表には、各都道府県が見込んでいるピーク時及び医療機関と調整済みの数とある。~厚労省は報告を受けた、だけの様である。」と記述している。

この間、国の基本的対応は何も変わっていないのである。

厚労省・国は、ピーク時予想~少なくとも公表されているのは、飽くまでピーク時であり、累計ではない。前掲西浦教授の資料を見る限り、何れのケースでも、ピークに至るのは大体アラート要請後22日後である。その時の最大入院患者数がグラフに表示されているから、非線形性を考慮すれば都の累計重症患者数MAXは3000名との推定値は出る(先の1084人*22日/2*2万人/8万人≒3000、後段は、既メール4/22において計算した、SD8割グラフの一ヶ月で8万人の総理発言に対するCAD読取り人数の2万人)~を各自治体にぶん投げて、否、情報提供し、後は、各々“地域の実情”に合わせて、“医療供給体制の拡充・整備”を図りなさい、そして、その“結果”を国に報告なさい、と言う事である。

結果、上の5/1報告の要確保4000床はおろか確保数の2000床も、実際は、「都は(7月)7日、感染者数の増加を受け、新型コロナ専用病床を13日までに、それまでの1000床から2800床に拡大するよう各医療機関に要請。ところが15日時点で確保できたのは約1500床にとどまった。21日、都は2400床まで確保が進んだと明らかにした。」(東京新聞7/22)という状況であり、そこで、現状におけるコロナ戦は、『コロナウイルスの感染再拡大について「この問題は圧倒的に『東京問題』と言っても過言ではない。」(毎日新聞7月11日)と、官房長官が語る迄になっている。~無論、その後、今までコロナ非感染地域であった岩手県に迄、初感染者が出る事態となった為、そのコメントも違ってきているとは思うが。

今晩(7/31)他局に出演されていた都医師会会長は、この点、何故に3000床規模のコロナ専用病院が出来ないのかと発言され、また、分科会の小林慶一郎教授が、何故に国としての統一的対策・業界ガイドラインの整備等が出来ないのか等疑念を提出されていたのに対し、武見議員は、このコロナ戦は、“初めての体験であり、マニュアルがない”“コロナ戦の現実は、各自治体・地域・業態別に違い、それに応じた対策が必要になる”との話しであった。

しかし、これは、1・2月乃至3月位の時期であれば、いざ知らず、コロナ戦が開始されて半年後の話しである。

小林教授は、先の20万件PCR検査の主導者であるが、その教授が、分科会の一員として参画されているにも関わらず、どなたも拡充強化に反対はされないけれども、何故か、やっとの事で1日5千件止まりと、頭を抱え、片や、貴番組に出演され、独自のPCR検査対策を構築すると世田谷区長が苦悩か怒りかの決断を披瀝される。
また、未だ、ダイヤモンド・プリセス対策がコロナ対策(公にというか、メデイアで取り上げられていたというか、その様な意味合いであり、無論、水面下というか、公表まえというか、各司司では様々な対策・準備は講じられていたであろう事は別途)であった2月頃、貴番組に出演された神奈川知事が、何故か分らぬが、県の職員が、地元の感染病室が一杯になり、遠く宮城県の職員に空き病床がないか訊ね、搬送しているとの話しをされていた筈である。偶々、横浜に着岸した、それでだけの事で、本来、国がやるべきか、否かも判然としないが、誰もやらなければやらざるを得ないからやっている、との事であったと記憶する。
翻って、先述、むつ市長はGo-To受入れ拒否の理由として医療体制が到底予想される来訪者の規模に対応できない事を上げられており、そのような現状は、5月であったか6月であったか時期は覚えていないが、石垣島での観光客対応でも有った筈である。~むつ市長は、もし、そのような状況で、感染者がでれば、それは人災だと、明言・名言されていた。Go-Toトラベルは、コロナと言う感染症に対し、経済と両立させるための“チャレンジ”だとの評価に対して!

そもそも、先の病床見込予想は、西浦教授が2/25のクラスター班結成後、多分、初仕事として「3月2日に、持ち回りで開催された第5回専門家会議の為に西浦教授が2月29日に策定された・・・」(既メール5/7)表を、第一波の知見を取り入れて、新たに、提供されたものに他ならない。

データーは新しくなっても、国・厚労省の対応の基本は何も変わらないのである。

この構図は、どこかで見た様な、聞いた様なと思ったが、それは、「東京ブラックアウト」(若杉 冽)という小説である事に思い当たった。
小説であるから無論事実そのままではないと思われるが、所謂原発事故に伴う住民避難計画の策定に当たり、(記憶のままに書いているので間違いがあると思われるが、あらまし)「国の基本的方策」は後々避難を浴びないように「完全」なものを中央省庁で作る。しかし、それに応じた具体的計画策定は“地域の実情に応じて”各自治体に任される。そこで、自治体の担当が、中央に来て、現実的に基本的方策にあるような具体的計画はどうやって作成出来るのかと質問すると、それを作るのが地方の努めですよ、と“弁論的”に諭される、と言うのが冒頭の方にあったと思う。

“地域乃至業種”に応じた各自治体・団体毎の“行動計画”“ガイドライン”は必要である。しかし、それが、必要十分的なものになるとは限らない。

何故なら、上に見たほんの数例のように、各自治体・団体の枠を超えた対応が必要なものがあり、東京はいざ知らず、千葉が当初自粛要請を渋っていたように、財政的に“地域の実情”に応じた対策が打てない。
“権限”も“金”もないからである。

また、法律的にも各自治体は独自に動けない。

「天の声」が響くと都知事が発言している。
都が理容業界を当初休業対象に含めようとした時である。(この間の経緯は、後掲「選択」7月号にある「コロナ、日本モデル」4ページ目にある))

添付総体組織の表に記載した特措法である

第二十条第一項;政府対策本部長は、・・・基本的対処方針に基づき、・・・都道府県の知事その他の執行機関・・・に対し、・・・新型インフルエンザ等対策に関する総合調整を行うことができる。

最近、他番組を含め、倉持先生の発言を聞くと、国の責任と屡々言われ、また、邪魔をしないでくれとの発言が多いように思われる。

地域の実情に応じて、動こうとすると、何がしかの“声”があり、何かやっても“金”が付いてきてない、と言うニュースが多いと思われる。

政治家が自分の選出母体を大事にする。役人が、自分の権限内で行動し、越権行為を冒さない~非難されるべき余地はない。

しかし、合成の誤謬という概念がある。部分、部分が最適行動を取っていたとしても、総体の結果が最適かと言えば、必ずしもそうでない事があると言う事である。

前回の緊急事態発令の目的は、“医療崩壊”阻止であった。
その目的は、果たされた。
~莫大な経済的損失を伴って。それは、総理自ら自負する1・2次総計約234兆円、真水約62兆円に応ずるものである。(第一生命経研EconomicTrend5・28)

しからば、国として行政としてこの全般の期間において注力すべき事は、少なくとも医療体制の拡充強化を行う事である。

何が為されたか~各自治体・団体の自主努力に期待していただけであると断言して不都合ない。~少なくとも、今まで取り上げてきた数少ない事例からだけでも

山本太郎氏は、アベノマスク配布より、その470億円内外を投資して、マスク工場を作れと非難したはずである~既メールの通り、実際は、その半分しか消化していないと思ったら、“予算消化”の為に、“高齢者施設用”マスクを配布すると言い、批判にあうと定額給付金同様、変節、お蔵入りにしてしまった。
200億円もあれば、都医師会会長が懇願している3000人コロナ専用病床とまでは行かずとも相当なものが作れる筈だ、
Go-Toトラベルも、何やら“都の問題”だから“都”だけ外せば良いのだろうと強行したら、“都”絡みが大半であった否かいざ知らず、肝心の旅行業者が取り扱いに苦慮し、当初、補償外であった都関連旅行キャンセル料も対象に含まれることになったというお粗末さである。

何故にコロナ病床が必要か、池田氏が何が3月末ピーク論において重要と指摘されたか、何をヴェトナムとの航空路再開の要件としたか

隔離であり、水際対策であり、PCR検査乃至コロナ検査であろう(既に、抗原・抗体検査があり、更に、塩野義製薬のSATI法による唾液検査も8月中には申請されると言うから、もはや、PCRではなくコロナ検査と総称した方が良い時期に来ているのではなかろうか。依って、以降はコロナ検査と書く事とする)

都から行くでも都に来るでも、全国全ての旅行者と受入施設にコロナ検査を課し、その陰性証明無しにはGo-Toトラベルの補償は受けられないようにすれば良いだけの話しだろう~むつ市長も、証明書付きであれば、もし、感染者がでたとしても、それを単純に人災と割り切って非難は出来ないだろうと考える。
何故なら、現実的には都以外から感染陰性証明書を持たないで訪れている方がいると考えることが出来るが、その場合、陰性証明書を持つ都の人が訪れた場合と比較して、どちらが、より受入れ安いかとの判断になると思うからである。

何故、当たり前の、この様な”地域の実情“に応じた対応が話しにも登らないのであろうか

様々な利害関係の合成の誤謬が起きているだけと思わざるを得ない。

また、このGo-Toトラベルの規模が1兆4千億円程度であったと思うが、調べると、これは年間旅行関連売上規模の2割程度になる。
官房長官は、このGo-TOトラベルの“必要性”について、旅行業界は“瀕死”の状態にある事を強調されているが、SD8割の副作用か否かは別途、日本経済全体が大打撃を受け既に400社以上が倒産し、“瀕死”の状態にある企業は多いわけである。
而るに、一例を挙げれば、「夜の街」等を含む飲食業界等へ扱いが自粛要請乃至1~2百万円規模の補償にしか止まっていないのである。
しかし、この点に関しては、「選択」6月号に“壮大な利権「観光業救済事業」“と言う記事があるのでこちらに譲る(下記9月4日追加添付)として、このGo-Toトラベル事業において、当初は、約3千億円が別途、業務委託費として予算計上され、関連予算は総計1兆7千億円程度であったと思う。

しかし、報道されたその実際の委託費は1700億円程度で一挙半額強となっていると思い、今一度関連の情報をネットでサーフすると、全体はGo-Toキャンペーンで、同ドラベル・イート・イベント・商店街で、「当初は経産省が事務経費3095億円の総合事務局を公募し、高額と批判されたため中止。3事務局に分けて公募し直した。今回、5団体が応募し、公認会計士を含む8人の審査委員が審査した。同コンソーシアムが提案した委託費用は1895億円。GoToトラベル事務局委託費の上限とされた2294億円から399億円下がった。」
と言う事である。~須く越権はしないのである。

で、ともかく、この様に予算削減に励んだのは、とにもかくにも、その前の持続化給付金の事務委託費が、電通を主体とする「トンネル会社」に落札されていたからであろう。

そして、「選択」7月号によれば、この「トンネル会社」の原型は、「民社党政権の事業仕訳により従来の天下り外郭団体を使った補助金支給が困難になり、窮した経産省が民間の体裁を装った」トンネル会社の設立を“電通”に要請した事に起因するとある。

バブル以前高度成長期の時代において、天下りならぬ“天上がり“というものがあった。興銀や野村等の1線級の人材が中央省庁に出向し、日本の産業金融・証券行政等の政策原案を作成していたのだ。
無論、彼らの出身母体の利益に結びついたのは当然であるが、それら政策は、単にそれだけに止まらず、日本全体。業界全体の為に裨益した。

しかし、この「トンネル会社」はその特定の出身母体の利益にしかつながらないし、中央省庁の実態的行政能力の欠如しか意味しない。
Go-Toキャンペーンの場合には、格別、“審査”的機能は、事務委託団体に求められていないようであるが、持続化給付金の場合は、確か、受託団体が要件乃至資格“審査”を行ってから給付するとされていた筈である。
似たような事は、これも、結局沙汰止みとなった、大学一次試験の国語等の文章問題実施においても、受託した団体の“アルバイト”の採点者が答案を見る、というスキームであった筈である。

筆者も、職掌上公的資金を取り扱った経験があるが、その際は、“准公務員”として厳しい倫理基準を求められた。

と思って、今日(8/2)のニュースを見ていたら、昨今の河川氾濫に関し「豪雨対策を巡り、地方分権の観点から、支流の管理が都道府県に委ねられている例が少なくない現状を問題視。河川管理者の見直しを検討する考えを示した。」と官房長官が述べたという。

言葉は使いようというから那辺を問題としているかは掴みがたい面があるが、確か、相次ぐ自然災害・人災により、PUSH型支援が国の各自治体への支援の基本とする、と言う事ではなかったかと記憶する。

このPUSH型は、何も、実際の災害が起きてからの話しではなく、CO2による温暖化の為か否かは別途、日本全国どの中小河川*でも“100年に一度”の豪雨が短時間に降れば氾濫の危険はあるだろう。
それこそ、“地域の実情”にあった各自治体の“行動計画”策定を促し、それらを“総合調整”して“PUSH型”で支援して行く、のが行政の有り様だと考える。

*今日(8/4)のNHKニュースで『先月4日の豪雨で川が氾濫して浸水し、高齢者施設などが被災した熊本県球磨村の渡地区。水位の上昇速度は1時間で1メートル余りと速く、避難を難しくしていたことが専門家の解析でわかりました。この地区は2つの川の「合流部」にあり、専門家は同様のリスクは全国にあるとして早めの避難が重要だと指摘しています。』と報道されている。

こう見てくれば、“地域の実情”を尊重し、実体的・具体的コロナ対策は各自治体の責任において実行していき、国は「基本的方針」と“総合調整”を行うと言う図式は、何も、コロナ対策に限らず、日本的行政モデルであり、そこに、関与する各政治家とその出身母体及び各行政機関とその行政機関に“細分化”された法律上裏付けられた権能とが複雑に絡みあっている、と図式化される。

総理がいくら、コロナ検査を強化拡充すると号令をかけても、目詰まりは解消されず、動く意思のある個人・組織も複雑巧妙精緻に張り巡らされた組織的・法的ネットの中で中々思うようには動けない、と言う事になっている
~岩田教授が清潔ゾーン・不潔ゾーンを暴露された時、いの一番に言われたことが教授をプリンセスダイヤモンド号に招請された厚労省の方を不利な立場に置かないで下さいと言う事であったと思う。
~小林教授が、誰でもコロナ検査は重要だと言われるが、何で動かないのでしょうねと首をかしげられる。
~倉持先生が、“今からやって頂ければと、何度も言われていたが、もはや、邪魔はしないで頂きたいと言われている・

確かに、“これまで同様”としか、Advisory Boardとしては言えない、
厚労省乃至結核感染症課が国としてのコロナ病床を例え作ろうという意思があっても、財務省の査定をクリアーしなければならない。(後段前部 合成の誤謬終)


閑下休題、コロナに関する先述(P15)総理の言う日本モデルを見てみよう。

まず、総理が日本モデルと言及した5・25緊急事態全国解除記者会見で
「緊急事態を宣言しても、罰則を伴う強制的な外出規制などを実施することはできません。それでも、・・・1か月半で、今回の流行をほぼ収束させることができ・・・日本モデルの力を示したと思います。・・・我が国では、人口当たりの感染者数や死亡者数を、G7、主要先進国の中でも、圧倒的に少なく抑え込むことができています。これまでの私たちの取組は確実に成果を挙げた」と述べている。

ここから、先述、
日本モデル;クラスター対策 → 三つの密 → 緊急事態宣言
と定式化したのに対し、
平均的海外モデル:PCR検査 → Social Distance → Lock Down
と、対比させたのであるが、現状における世界の感染状況を見てみると、添付の国・地域別感染者数のとおり、確かに、主要先進国の中では少ないが、米国/EU/南米に対比すれば、中国を加えたアジア全体が、圧倒的に少ないのである。

従って、死亡者数を見る場合に、人口当たり死亡者数ではなく死亡率で見る必要があり、それを添付の死亡率推移で見れば、圧倒的に死亡率の高いEU及び5月初めまでを除けば、違いは無く、同じアジアよりは高くなっている。

ベトナム・台湾を挙げるまでもなく、お隣の韓国は、日本モデルか世界モデルかと言えば、明らかに、世界モデルであり、「人口当たりの感染者数や死亡者数を、G7、主要先進国の中でも、圧倒的に少なく抑え込むことができて」いるであろう。

日本モデルが喧伝される由縁はないであろう。

なお、「選択」七月号に、「コロナ、日本モデル」と冠する記事があるので、載せておく(9月4日追加添付)。

 

添付の次の表を見て戴きたい。

これは、前回集計時の感染者数で次回集計時の感染者数を割り、それを、その期間日数で割った日時増加率であるが、これで見れば、EUの収束傾向が顕著なのに対して、日本は6/28~7/29にかけ、米国を凌ぐ増加率を呈示していることが分る。

今回の流行をほぼ収束させることができたのは、二週間のタイムラグを考えれば、都アラートが全面解除された6/11日前後迄であり、経済活動“再開後”は、明らかに第二波が襲来しているのである。

度々の繰り返しになるが、4/7記者会見では、先の「関東で1万室、関西で3,000室を確保しました。」と述べた後に、「最も感染者が多い東京都では、政府として今月中を目途に五輪関係施設を改修し、800名規模で軽症者を受け入れる施設を整備する予定です。」とも述べている。
また、5/25会見でも「全国各地で新型コロナ重点医療機関を指定し、今後の流行のおそれに備え、十分な専用病床をしっかりと確保していきます。」とも述べている。

総理は述べているだけであり、厚労省は集計しているだけであり、行政としての“総合調整”は、全く、働いて来ていないのは、延々述べてきた所である。

今、眼前に進行している第二波の襲来に対し、幸い、重症者数は、未だ都においては10~20人レベルで止まっていることから、医療崩壊~緊急事態発令~SD8割には至っていないものの、逼迫感・危機感は既に報じられている通りであり、何の為の前回発令であったのかの総括不在のまま、再び、同じ轍を踏む可能性は高まっていると思わざるを得ない。(P20吉村知事発言参照)

所で、7月22日の日経に、新冷戦と言われる米中対決について、米国の対中政策が、民主主義国家である米国の究極の強みである公の話題についての侃々諤々の議論なしの“総意”に基づいて進められている事への危惧に関し、Mission Creep~徐々に課題が追加され、本来の目的が見失われていく状況~が、もし進行しているのだとすれば、将来に重大な意味を持つ。経済的対立の解消は面倒だが政治哲学の対立は折合いをつける事が困難だ。(~究極、第三次大戦を覚悟せよ、との暗喩?)とのFT記事が引用掲載されている。

議論のベースとなる主題は全く無関係であるが、日本で進行中の対コロナ線に置き換えれば、緊急事態発令は何の目的、どのような効果があったのか明確な総括がないまま、単に“日本モデル”と自画自賛する内に、第二波は襲来、今回は経済に深刻な打撃を与えてはならない乃至経済との両立という課題の追加乃至明確化に対し、何等、本来の緊急事態発令の目的が見出し難い・見失われていると言うこの状況は、正しくコロナ戦下における日本コロナ対策はMission Creepの状況に陥っていると言ってよいのでないかと思われる。

米国等他国においても、経済再開により、感染者は再び増加しているのである。
先日、NHKでドイツでは、所謂、GDP-R値の二律背反に関し、GDPマイナス5%(?)とR値0.7の組合せが最適解との報道があったと記憶するが、両者を共に最適状態に持って行くのは、コロナワクチン乃至コロナ対処療法が確立されない当面の間は出来ないのである。

そこで、既に、各自治体は、“地域の実情”に合わせ、独自の動きに出始めている。~第一波の時の北海道と同様、沖縄が、今日(8/2)、医療体制限度率(大雑把、感染者数/病床数)が100%を超えている事等から、県独自の緊急事態宣言に踏み切ったと言うニュースが流れた。

しかし、北海道同様、沖縄も“島”であり、“水際対策”が取り安いにしても、“国”ではないから、折しもGo-Toトラベル開始後の現状、独自の“コロナ検査”等は、法令上からも財政面からも為し得ないと思われ、感染拡大防止への有効な手段対策となり得るか懸念なしとは思われない。~宣言はするにしても、具体的にどのような手段・対策を取り得るかという問題である。(P39参照)

都も、先述、飲食店等時短要請に伴い20万円の協力金を出すと言う事ではあるらしいが、第一波で疲弊している状況、どれだけ有効性のある要請でありうるかとの懸念は残る(今日8/4の貴番組では電話アンケート51軒中10軒?は応じないと報道されていたと思うが)
しかも、都自体の財政が既に1兆円の余剰金を使い尽くしつつある状況で、今後、二の矢三の矢の、補償を伴った自粛要請が出しうるのか~既に、先述、特措法の罰則化=補償付きへの改正を要望しているが、官邸の動きは鈍い・無視しているとの報道も見られる。

何れ、各自治体任せでは、総理自らが、国難*と言うコロナ戦は戦えないのである。

国民の皆様には、大変御不便をおかけいたしますが、この国難とも言えるこの状況を全ての地域の皆さんと共に乗り越えていきたいと思います。(令和2年4月17日 記者会見【安倍総理冒頭発言】)


今こそ、各政治家が各出身母体を大事にするように、各官僚が自らの各権能を十二分に行使しているように、各政治家が国民全体を見て、各官僚がそれぞれの権能の全体像を見て、コロナ戦を各“地域”で戦う各自治体に対し、何が“総合調整”機能としてPUSH型で支援助成提供しうるのかの全体像を明らかにし、それを広く国民に知らせ、そして、国民の協力を仰ぐようにすべき時だと強く感じる。

所で、貴番組で、尾見理事長は、“経済との両立“的立場ではなく、”専門家“の立場でもっと提言乃至分科会での議論をすべきではないかと指摘されていると思う。
しかし、前段、分科会が組成された成り立ちそのものが医学乃至疫学の専門家と経済乃至法学等社会学的専門家との混成により、前者の専門家に引きずられた感のある“コロナ対策”を是正する、と言う観点があった筈である。(P9参照)

であれば、尾見理事長は、むしろ分科会会長職を努めるべきではない、マスコミ出身者か法学専門家か、医学~経済を両睨み乃至より第三者的に判断できる人材を会長にすべきと言う事だと考える。

先述、西浦教授の新たな患者推計はAdvisory Boardの参考資料である。

先述、”Pandemic Pentagon”の結束は固いのである。(前段 末尾参照)

西浦教授は京大に転籍されたようであるが、最近、“露出”が少ないように感ぜられるが、何かしら、この分科会組成とAdvisory Board復活との関連があるのか否か

いずれにしろ、先述、NEWSWEEK(6/11)への寄稿の中で、
「死亡者数の被害想定は、あくまで「流行対策をしない」という仮定の下で計算されているので、実際に観察されたのがそれを下回る700人台(5月中旬時点)の死亡者数であると、「モデルが間違っていた。自粛なんてする必要がない」というような誤解も生じかねない。大規模な流行が防がれたことによって感染者数の爆発的な増加が防がれたわけであり、流行が拡大すると今度は制御が困難になり得ることは改めて覚えておかないといけないと思う」。
と、述べられており、第二波への懸念を示されている。
しかし、実は、このNEWSWEEKにおける文章を一読した際、緊急事態発令により爆発的な増加が防がれたとの意に読みうる。即ち、緊急事態発令の目的はオーバーシュート阻止であったと述べられているのかと思った。

が、5/7既メールで,
西浦教授は4月10日のBuzzFeedのインタビューで「今、東京では医療が切迫しているのです。都内で、ICU(集中治療室)の病床が満床になったところです。・・・来週半ばまでは感染者が上げ止まらない状況が続きます。医療が持ちこたえるために一番大事な時です。・・・休業補償は待ったなし」というのが専門家会議の共通認識です。」
と、述べられた事を引用している。
で、先述、SIRモデルが記載された論文が、西浦教授自体が共著で著わされたものとはこのNEWSWEEKへの寄稿の中で認識したと述べたが、意識が別の方向に向いていると見ていても理解していない・意を汲み取っていないもので、この引用文の中の、“休業補償は待ったなし”との文も、すっかり読み飛ばしていた!
即ち5/7のメールにおいては、前段のICU(集中治療室)の病床が満床になった、と言う文に着目し、緊急事態宣言がオーバーシュートではなくオーバーシュート阻止の目的から発令された、との論証に意識がいっており、結果、緊急事態=休業補償と当然の事に思っていたが、西浦教授は緊急事態宣言乃至SD8割と言う言葉自体には何等言及されていないのである。

オーバーシュートを阻止する為には、流行対策即ち緊急事態発令、SD8割を実施しなければならない。しかし、それには多大な経済的打撃が伴う。よって、緊急事態発令、SD8割を行うためには休業補償無しには、実行できない。となれば、多大の財政措置・負担が伴うことになり、一学者の判断の領域を超える。しかし。それでも、オーバーシュート阻止の為には、休業補償は待ったなし、と判断され、“42万人死亡説”を敢えて公表するというクーデターを敢行された、と言う事と考える。(P41~42参照)

先の日本モデルは、元々
クラスター対策 → 三つの密 → 休業補償付き緊急事態宣言
と、考えるべきものであったのだ。

総理は「緊急事態を宣言しても、罰則を伴う強制的な外出規制などを実施することはできません。」と、人権乃至営業自由を尊重する言葉を枕言葉として使っているが、休業補償付きの外出・営業自粛要請は、毛の先ほどにも、おくびにも出さなかったのだ。~池田氏・藤井氏は、この事に着目されたのであろうか


先に、池田氏は、西浦教授は専門家会議から撤退せよ2020年05月02日の中で、『西浦教授は、「十分な減少を果たすためには、実効再生産数0.5にすることを目標にしている」・・・「最後の一人をクラスター班で撲滅したい」という個人的な願望を、繰り返して吐露している』
と難詰されておられ、これに対し5・7既メールにおいて、 
「感染は指数関数的に増加増減するのは当たり前ですが、1>Rtであればあるほど、0になるのは早くなるのですから、単に1を切れば良いというものではなく、特にPCR検査体制が不十分な現状において、相当程度Rtが小さくなければ“非常事態”は解除できない“医療体制”の水準だからだと思うのです。」
旨の記述をしていたが、都において、5月23日に一旦2人までに減少した新規感染者が8月1・2日463・472人と70日後には陸続とした記録更新をしている。

感染は指数関数的に拡大して行く。
1人でも感染者がいる、残る、持ち込まれれば。
それが、感染症・コロナの脅威であろう。

正しく。この観点から、多大な経済的損失は伴ったが、流行対策により、医療崩壊が防がれ、コロナの制御が可能となり、結果、「感染者数の爆発的な増加が防がれ」たと、述べられていると考える。
従って、「流行対策をしない」と「今度は制御が困難になり得ることは改めて覚えておかないといけないと思う」と、既に、奇しくも、東京アラートが全面解除された6/11日(もしくは号)で述べられているわけである。

この場合の流行対策が、単に、緊急事態の再発令を意味している、と言う事は、当然、ない筈である。

真珠湾攻撃における第3波攻撃の是非はともかく、ミッドウェイ攻撃における目的は何であったのかは日本敗戦の起点となったことから、常に、曖昧な行動への警鐘として引き合いに出される。

今日(8/3)、三重や岐阜が県独自の緊急自体的宣言を出したという。
本来は、“地域の実情”に応じたコロナ対策として称揚されるべきニュースの筈であるが、出す方も伝えるメデイアも、暗に国としての統一的・整合的方策~“総合調整“の欠如、無策・無能ぶりに業を煮やした末の対応である、との様に感じているのは私ひとりであろうか~今日(8/4)のニュースでは、加藤大臣はそれぞれ独自に対応されている、と称揚されていた!

延々述べてきたのは、延々述べざるを得ない“目詰まり”の根の深さが、絡み合いの複雑さが有るからであり、これを、整理する、正常に戻して行くには、それこそ、西浦教授の様な“クーデター”を起こし続けて行くしかないのであろう。
しかし、人それぞれ立場・生活がある限り、それも、現実的には中々期待するのは酷な事柄であろう。

とすれば、そのもつれの一つ一つを厳しく解明・究明・指摘・批判して行くしかないと考える。

貴番組に期待すること大なる由縁です。

堤キャスター、益々の御奮闘を祈念して、最後のエールとします。  草々(8月5日 SENT)