少額訴訟しょう記

思えば、武漢在住者の緊急帰国及びプリンセスダイヤモンド号の漂流寄港により幕を開けた対コロナ・ウイルス戦も早一年、国民全てが、不安・不自由な日々を余儀なくされる中、筆者も、6年程前に購入した千葉の方の中古での“田舎暮らし”が専らとなり、その結果というかしわ寄せというか、昨年後半の大部分を、標記訴訟にかかずりあう事になった。
それは、千葉では、携帯電話でのテザリングによりネット接続していたのであるが、東京と行き来していた頃は、さほどG消費の事は気にはせずにおれた。しかし、千葉での生活が長くなると、携帯のG消費、追加料金が半端無くなって来た。

これは、その遠因としては、今、総理として進めている携帯料金の引き下げは、官房長官として推進した言わば第一波の引き下げに次ぐものであるが、その第一波の引き下げ自体が、実は、少なくとも筆者にとっては実益0・有名無実のものであった事にもよる。

それは、可能引き下げ幅4割と喧伝され、そこまでは行かなくとも、確かに、2割程度の引き下げにはなるものではあったのだが、それには裏があり、筆者の場合には、家族割りでグループで5Gまで使えていたものが、改訂後のプランでは各自1Gまでの場合に引き下げ効果があるからであった。それで、それまでは、筆者だけでその5Gを使っていたため、筆者が改訂後プランで5G使えば、その引き下げ額が帳消しになるからであった。

しかし、コロナ戦勃発前までは、それでも、千葉の方での暮らしには十分で有ったのであるが、コロナ戦勃発後、千葉での暮らしの方が長くなると、5Gではとても足りず、そうなると1G毎に千円と言う事になり、携帯料金の支払いが嵩んでくるという次第になった。

そこで、Wi-Fi接続に切り替えようと、ネット検索でいの一番に出てくるBroad Yi-Max[(株)Link Life運営]に申込、4月26日にルーターが送られてきた。

実は、事前に、電波状態が悪く接続不良の際は、違約金等無しに“初期契約解除”可能との確認は取っていた。

早速、使用してみると、やはり、携帯テザリング同様7G以上では接続スピードが極端に落ち、使い物にならず、また、サーポート対応も、契約前対応とは違い、コロナ禍下とは言え極めて不十分であった

従って、事前に聞いていた初期契約解除の申込を同30日にした。

その際、SIMカード(SIMC)についてはSIMカードプレート(SCP)とその台紙も要返却物との明記があり、それで、SIMCをSCPに戻し、台紙に挟んだ上、保証書と一緒にビニール袋に入れ、ルーター等と一緒に指定の丸全昭和運輸(株)に返送していた。

所が、5月1日、電話がきて、SIMCが見当たらないと言う事である。(ちなみに、電話連絡がついたのは、この1回のみ)
そこで、上述の旨回答し、SCPの中を確認して欲しい旨答えると共に、その旨、後刻の事もあるからとメールしておいた。

しかし,その後、何の連絡も無く、同9日に「SIMCがないので、(最大)損害金22,000円発生の上での契約解除になる」とのメールが入っていた。

爾来、何時何処で誰が何をどのように回収したのか等を問い質したが、中々、応答がなく、最終的に大概、「担当者の所属は明かせない・保証書はあったがSIMCはない・到着時保存はしていないので保証書がどのように梱包されていたかは不明」との返答が来たのが同22日であった。(これ以降、Link Lifeとの連絡は、末尾の連絡までは一切取れず)

そこで、同日メールで、「SCPは保証書と一緒にビニール袋に入れていた。SIMCがないのは、SCPを保全していない丸全運輸乃至御社の責任で有り、損害金請求を撤回」する様要求した。

この間、練馬消費生活センターに相談をしていたが、センターには、ネット販売での“員数不足”相談はよくあるようで、メール等写しを送付頂ければ、センターから相手方に問合せはして頂けるとの事で、“証拠メール”等を送付してあった。
そして、6月29日にセンターから連絡があり、Link Lifeとしては、①ビニール袋を再度確認したが、SIMCはなかった②損害金は要返却物が一つでも欠品であれば、最大額22,000円で、何が幾らではない、との回答があったと言う事で、これ以上はセンターとしては対応できないので、調停・訴訟等を考慮頂きたいとの事であった。

私が、裁判と関わりを持ったのは、若手の頃に競売申立てをした事と、ロンドン駐在の折り、スピード違反で出廷した、2回しかなかったが、“時間はある”事であり、取敢えず、調停手続きを取ることにした。

その方面に明るい旧友に、調停が如何なるものかと、まず、相談した所、相手方に出頭義務はなく、その場合は調停不成立となる、との事である。
そして、丁度、ある法律相談事務所の案内が来ていた所であったので、7月6日に相談に行った。
その折り、少額訴訟では1回で終るからと、調停よりは速いとお勧めを受けた。
実は、センターに相談した折には簡易裁判所での訴訟を考えている旨話しはしていたのだが、それは140万円以下の金額までは簡易裁判所での扱いである事を覚えていた為で有り、少額裁判制度そのものに付いては知らなかった。
そこで、ネットで調べて見ると、1998年に導入され、現在60万円の金額までで、年間10回まで訴訟提起可能である事を知った。

旧友・弁護士に相談したおり、調停でも裁判でも、まず、挙証責任の在り方が問題となる旨指摘されたが、それには、a,Link Lifeの初期制度解約制度では、解約申込が相対(店舗)では不可で、郵送乃至電話受付のみになっているのに関わらず、返送物を先履行で送付しなければならない事b,内容証明郵便に比される内容物証明付配送制度はない事c,例え写真等撮っていたとしても、Link Lifeは、一貫してSCPの存否については言及しない以上、“積極的”証拠にはならない事をお話し、挙証責任が当方に100%ある乃至能動的積極的挙証を求められれば負けになる、でしょうねとお話ししていた。

そこで、損害金が引き落とされた7月27日付けで、錦糸町の簡易裁判所に調停申立てをしたが、折からのコロナ禍で調停期日が先伸びになっており、2~3ヶ月、場合により12月~年明けになりますとの説明を受けたが、幸い、割と早い、9月29日に期日設定された。
そして、その期日になり出頭したが、先方は調停不出頭の旨の回答書を寄せていたらしく、裁判官調停委員も2回目の出頭期日を設定しても無意味で有り旧友指摘の通り、調停不成立にしたがっており、調停不成立で応とした。

その調停不成立書を出状して貰う際に、書記官から、2週間以内に訴訟提起すれば印紙が半額になりますとのサジェスチョンを頂いた。

そこで、10月13日に、今度は霞ヶ関の簡易裁判所に少額訴訟の提訴を行ったが、この際、先の法律相談事務所の弁護士からは、調停でのLinkLifeの対応を考えると裁判に出頭せず、請求がそのまま確定する可能性がある。但し、その場合、相手方が任意に弁済するとは思われず、強制執行手続きに入るが、例えば銀行預金だと支店名まで把握する必要があり、通常、銀行は代理人である弁護士が取引銀行宛照会しても開示しないので、差押のための財産把握はかなり手間暇かかりますよ、との事であった。
これに対し、当方は、少額訴訟の場合、控訴は出来ず不服申立てしか出来ないので、相手方が通常裁判への移行を申立て、判決不服の場合に控訴した場合、裁判自体は先の140万円以下で有り簡易裁判所での裁判となるから、これに対しては当方で対応するには問題ないが、控訴審となり地方裁判所での裁判となると、さすがに弁護士に対応をお願いするようになるかと思われるが、その場合、弁護士費用は、請求に含める事が出来ますかとお伺いした所、それは、含める事は出来ないとの回答です。
そこで、更に、では、控訴審において、請求を拡大し、損害賠償乃至慰謝料として例えば1百万円等請求出来ますかと聞いた所、日本では、慰謝料は基本的に肉体的損害に伴う場合にしか認められていないと言うことであり、“韓国とは違いますね”と言う事になった。

さて、裁判当日に簡裁に行くと、コロナ禍もあるかと思われるが、開け放しの法廷で前の裁判が開廷されていた。
私の番が来る前に2件あったが、最初の件は、若い女性が賃金支払いを求めているもので、相手方も女性だが、この人は原告を雇用し働かせたことは認めているが、他の実際的な雇用主の為に便宜的に雇用契約に署名しているだけで賃金支払い義務はないと主張しているようでした。これに対し、裁判官は、代理権を疎明出来ない以上、無権代理人としての支払い義務があるとの裁定を下され、金額は4万円位だったと思いますが、二十歳台と思われる女性が、この様に少額訴訟を自分で行われているのに感心して傍聴していた。
ちなみに、訴状を提出に行った際、長髪・ジーンズ・長靴の若い女性がエレベーターで一緒になり、そのまま同じ訴状提出窓口に行った。
その折、書記官が、今年何回目になりますかとの質問をしていたようであり、ムウ~と思った事もあった。
次の裁判は、明らかに若い弁護士代理人が原告で、販売代金の支払いを求めているものであったが、被告は、何等かの理由で支払免除になる云々の抗弁をしていたものの、裁判官は原告への支払いを命じていた。

それで、私の番になったが、前の裁判傍聴中から傍聴席には私一人しかおらず、相手方は出頭していなかった。
但し、回答書を今度は提出しており、裁判官はこれをもって出頭と見做す旨宣言し、提出していた証拠の確認から、裁判に入っていった。

で、その回答書には①原告=私の送付したとの立証は不十分②SIMCがなければ、通信契約の中途解除費用がかかり、22,000円の損害金請求は不合理ではない、と抗弁していたとの事である。
それで、裁判官が①に関し、送付した際の写真は撮っていますかと質問されたので、撮っていない旨お答えした。
そして、②の点については、当方から、ずっと問い質してきているのに当方には何等回答を寄せず、この裁判という土壇場になり、やっと反論してき、なおかつ、それは明かにセンターへの回答と矛盾していると反論した所、裁判官も被告の供述の“変遷”は認められました。
その後、裁判官と陪席の司法委員2名が一旦中座、戻られた後、原告として主張されることはあるかとの問でしたので、先述a,bを陳述した。
私の話しのあと、裁判官が、では判決を言い渡しますと言う事で、私が送付したという主張は信用する事ができ、また、SIMCのみを返還しない理由がない一方、被告はSIMCがないとするだけで具体的反証を行わないとして、原告請求を全額認める、との判決を頂いた。

ここで、書記官が閉廷を宣告しましたが、直後、退廷する前に、裁判官が私の方に向き直り、「内容物証明付き配送制度がないと言われたが、公証人による事実実験公正証書がありますよ、費用は高いのですが」と、お教え頂いた。

そうなのある。
私は、仕事を融資業務補助から始めたので、保険証券質入承諾書への確定日付押印や森林担保資金の公正証書作成のために公証人事務所へ足繁く通った事を思い出した。
事実実験公正証書に付いては、その当時は知らなかったが、渡瀬恒彦の前検事現公証人のテレビドラマで遺産相続の際の財産調査に出てきて、ネットで調べたことがあった。
で、公証人も弁護士も1時間当たり費用は原則1万円(税抜き)だと思うが、公証人付いては、実は、英国年金について生存証明を提出する義務が有り、その署名人に公証人に頼めば幾らになるか調べた経緯がある。
それで、22,000円の請求に対しては実用的な制度ではない事は裁判官も百も承知の上、話されている訳であり、これは、穿った見方をすれば、私に対し、挙証責任が100%あるわけでもなく、弁護士が写真があれば100%と言われた事でもない、裁判官として、原告・被告双方の主張を聞いて、公正に判断しますよ、言われたのかと思った事である。

判決は11月9日裁判当日に言い渡されたが、判決文が被告に送達された同20日の翌日から2週間内に異議申立てがなく、12月5日に確定したことを簡裁に確認した。
この点、弁護士に相談して、判決確定後に相手に任意の支払い督促文を送ることにしてあったが、そもそもの請求金額に、先の損害金22,000円に対しその利息相当額は年3分の法定利息では計算倒れであるから、請求してはいなかったが、訴訟費用にはチェックを入れ、一応請求出来る形にしてあった。
それで、その訴訟費用についてはどのように計算すればいいのかと聞いた所、弁護士から、訴訟費用は、裁判所が計算し、額もたいしたものにはならないから、損害金のみの支払い督促がスマートです、と聞いていた。
しかし、判決確定までには時間があり、訴訟費用の算出にはどのような手続きが必要か一応、簡裁書記官の方へ聞いて見た。
すると、訴訟費用自体は大体12,000円位になると言う事で、利息とは大分違う。
それは、予納していた切手代等約5000円に含め、訴状作成費用1000円・出頭日当3950円等が付くからですとの事である。
それで、訴訟費用額確定処分申立を行い、11月26日に訴訟費用額11,294円の支払い処分が被告になされ、当該処分通知が、同30日に送達され、処分不服申立てが翌日から2週間内に行なわなければ12月8日に確定することになった。

そして、12月9日に、上記の合計額33,294円を同24日迄に支払うよう督促文をLinkLife宛て出状したのだが、それは当然内容証明郵便で出した。
この内容証明郵便について、何の案件で出したか覚えていないのだが、カーボン紙をはさみ、内容証明郵便用のマス目の入った用紙に書いた覚えがあったが、ネットで内容証明郵便の出し方を検索したら、チャント、ネット上に作成サイトが有り、そこで、24時間何時でも出せるようになっていた。

出状後、相手方が任意に支払いをしてくれれば一見落着には成るのだが、最後にご相談した法律相談事務所の代表弁護士には、判決文をかざして事務所に支払えと“乗り込んだら”どうだ、と威勢のいいお言葉を頂いたが、“荒事は”と申上げ、差押の手順の確認やっておこうと思った。

LinkLifeのネット上の会社案内には取引銀行として三菱UFJが挙げられており、本社は東品川だから、同銀行の品川や渋谷当たりの支店ではとの推測は成り立つのであるが、銀行照会するのであれば、本店法務部宛かなとは思いつつ、先の弁護士の、基本、銀行は照会に応じないとの話しも有り、実は、簡裁で財産開示手続きに付いても、訴訟費用額確定処分手続きについてお伺いするときに、聞いていた。
すると、簡裁では判決に伴う執行手続自体は行うが、財産開示手続自体は、目黒の民事執行センターで受け付ける、という事であった。

そこで、私も一時住んでいた社員寮があった競馬場跡をバスで通過し、目黒の執行センターを訪れた。
そこで、事情を説明し財産開示手続に付きお伺いした所、まず、支店名が不明な場合、当て推量でも差押手続は出来るとの事で、結構、それで執行手続を取られる方は多いですよ、と教えて頂いた。
そして、財産開示手続自体は、被告を裁判所に呼び出して審問するために半年くらい時間がかかる。
その点、今年の令和2年4月Ⅰ日から、銀行等「第三者からの情報取得手続」制度が出来、取引口座を開示するよう請求出来るので、そちらを利用されたらどうですかと教えて頂き、その書類一式を頂いて帰った。

実は、LinkLifeからは、4・5月分の利用請求料を引き落とされており、先の解約に伴い、事務手数料3000円の差額の払い戻し受けていた。
それで、口座を持っている銀行に仕向銀行の支店名を教えて貰えるかと聞いたところ、驚く事に、三菱UFJの金沢支店だと言う。
確か、調停乃至少額訴訟で当事者確認の為に代表者事項証明者を取り簡裁に提出した際に、代表者自身の住所は福井県となっており、また、簡裁に答弁書を出した際に連絡先として福井県福井市栂野町のAII CONNECTの会社名が記してあり、親会社としてあった。
そして、福井県には三菱UFJの支店はない。
更に、先の振込に際しての振込人名はBroad Y-MaxでありLink Lifeではない。
とすると、Link Life自体は東品川にあり、三菱UFJを取引銀行と謳っているが、Link LifeとしてはBroad Y-Max等を運営する実働部隊で有り、金銭関係については全て親会社で処理しているとの考えも出来る。

債務名義はLink Lifeであるが、差し押さえるべき銀行口座はない!

もしそうだとしたら、如何なる手段を講ずべきかと思っていたら、Link Lifekから、12月11日に手紙が届き、中に一文が入っておりLink Life名ではあるが住所が先の福井市栂野町の住所になっており、「当社」でお支払いするので、払い込み口座をそちらの方にご教授賜りたいとある。

既に、先の督促文の中に払い込み口座は記しているため、その旨、述べた後、連絡に従い、再度、口座名を指定住所宛にお知らせするとの内容証明郵便を折り返し出状した。

結果、指定期限最終日である24日に33,294円が、カ)リンクライフ名義で、さながらクリスマスプレセントの如く、連絡していた口座に振り込まれていた。

5月1日の電話連絡以来8ヶ月、当方の口座から7月27日に引き落とされて以来半年である。

この送金の仕向銀行は確認していないが、多分、先述の金沢支店だと思われ、もし、任意に支払いがなかったとしたら、債務名義上、銀行口座の差押には困難な事態が現出したと思われる。

この点、Link Lifeも、一応、Y -Maxでネット検索をすれば一番目に表示される会社ではあり、判決文に従い任意に支払いはしたが、であれば、なぜ、当方のメール問合せにもっと真摯に対応しないのか、いきなり訴訟に持ち込んでいるわけでなく、わざわざ調停という「話し合いの場」を求めているのに、何故、それに応じないのか、最後の最後の法的手続である強制執行一歩手前まで、何故、顧客に向き合わないのか、判決に即して支払えばそれでいいのであるにしろ、何故、一言の断りも全くないのか・・・・・

当方は、時間乃至多少の法的知識があり、また、アドバイスを頂ける方々もいたので、故なく取られた金・法律上の原因のない不当利得金の回収が出来たが、そもそも、22,000円に過ぎず、普通・一般の方はそんな手間暇は掛けられず泣き寝入りであろう。

そして、そう思えばこそ、尚更、義憤に駆られる思いでの少額訴訟しょう記であった。

追記1,現在、LinkLifeのHPを見ると、初期契約解除に伴う返送先は、住所は筆者が返送した先の住所と同一であるが、運送会社名ではなく同社名が記載されている。何等かの、管理方法の改善を図ったのであろうか

追記2,4月から実際導入?される新携帯料金ー20Gプランについても、まだ詳細検討はしていないが、筆者の場合、家族割等の割引プランが使えず、現状と比較し引き下げ額は大差ないのではと思っている。複雑な料金体系がやや簡便な体系になるだけで、実態料金は変わらない、と言う事ではないのかと感じる。