コロナ最終論考~敵はコロナだ!

堤キャスター、再度の緊急事態解除に向けて~敵はコロナだ!;2021/03/18

以下、メールする前に、標記に関する総理会見を見ました。

解除可能根拠は、大雑把、新規感染者数8割減、病床使用率改善とのようですが、今後のRebound・変異株への懸念から、実体、“現状”と変わらない“緊張感”“自助”が求められるようです。
また、宮城県(と仙台市)で県独自の“緊急事態宣言”が出されたようで、ある意味、地域に応じた“共助”に期待するとの見方もあるかと思います。
更に、尾見会長が、今後はReboundに向けた、新しい“レベル基準”を設けられるとの話しも有り、”公助“は、これからは、この新基準に従って為されるのかなと受けとられました。

私は、昨年来、“コロナ禍“ではなく“コロナ戦”と言う表現を使っていますが、その点、総理は、今後の対コロナ禍に対してはワクチンと言う強力な武器があると発言されましたが、尾見会長は、必要不可欠のものではあるが十分ではあり得ないと婉曲に答えられたと思います。

即ち、隔離~治療~予防、が対感染症“三位一体”対応策。 PCR~病床=治療薬~ワクチン、という事だと思います。

ただ、“禍”として“避ける”だけではなく、攻撃的に“戦”うという観点が必要なのではないでしょうか

既に9千名近い方がなくなり、今も1万2千人強の方が病に伏せっているのですから


前略
今日17日の東京都における新規感染者数は409人との速報が出ましたが、政府は、明日、諮問委員会を開いて意見を求めたうえで、緊急事態宣言解除をするようです。
再延長された緊急事態宣言が、東京において中々2桁にならず、一旦100人強に落込んだ事は有っても、300人前後で所謂下げ止まり状況下において、再延長期間2週間後に期限通り解除されるか否やについてのニュースを最初に見たのは、(少なくとも私に取っては)13日22:23配信のsankei.com「〈独自〉政府、21日で緊急事態宣言解除へ 1都3県」という記事でした。
実は、この13日に家内が、緊急事態はどうなるのかと聞くので、元々2週間と”政策判断”で決められ、経済状態への影響、かつ、当初は東京では”新規感染者500人以下目処”とされていた事、また、特措法改正で「蔓延防止等重点措置」対応が出来る様になったのだから、後はそれで対応、と言う事で、予定通り、解除されるのではと話しをしていたのです。
それで、翌14日朝、この記事を見て、やはりと思いました。
この記事では、その解除理由としての建前は「延長前後(4日、11日)の病床使用率を比較すると、東京30%→26%▽埼玉41%→40%▽千葉46%→42%▽神奈川28%→26%-と、いずれも緩やかながら改善傾向にあ」ると言う事のようですが、本音は『関係閣僚の一人は「宣言はもう効かない。早く解除するしかない」と語る。厚生労働省に助言する専門家組織が11日に行った非公式の会合では、主要メンバーから「もう打つ手がない」との意見が出た』という事のようで、後は先の『感染再拡大の予兆があれば、(改正)コロナ特措法で新設した「蔓延防止等重点措置』を適用する構え」だそうです。
そもそも、この再延長をしたとき、田村厚生労働大臣は「病床がひっ迫しているというのが今回、延長する1つの大きな理由であり、そこを改善するのが大きな目的だ」(nhk.or.jp2021年3月5日)と述べていますが、これに対しては、1月7日からの2回目の緊急事態宣言に当たって、「国民ひとりひとりが本当に頑張って感染防止に努めてきたおかげで、日本はG7の中の優等生だ。第1波、第2波、第3波と言っているが、これらも欧米に比べれば“さざ波”みたいなものだ。ただし、さざ波であっても重症者数は増える。昨年の春以降、国や医師会は国民の頑張りに応えて、医療を総力戦の体制にしておくべきだった。私は厚生労働省にいたし、医師でもあるので、非常に憤りを感じている」(abema times;1/6(水) 12:44配信木村盛世)と言う厳しい批判がある。
この木村氏は、既メール(2020/04/11)で「厚労省の元医務系技官で女医の方が、やはり、基本、緊急事態発令はやるべきではなかった、何故なら、データー的には、今まで、コロナ対策は奏功しているからだ」と記載していたその方であり、最初の緊急事態発令から反対意見を述べられていた。ー尤も、その最初の反対理由自体は、当時は「“死亡率”が2.35%と低く、コロナ対策は奏功している」との事であり、これには「ドイツに比べ、日本の死亡率は高い」のではとコメントしています。
この病床・医療体制の点については、コロナ戦の特集を組んだ文藝春秋21年3月号に『コロナ第三波「失敗の本質」』として分科会メンバーである小林慶一郎氏が特別寄稿を寄せています。
これに依れば、「12月上旬のある日、私の目の前で、経済対策を担当する内閣府の官僚がカンカンになっ(た)・・怒りの矛先は厚生労働省でした。
コロナ患者用の病床は、一般病床で2万7千床、重症者用に3千6百床が確保されている筈だったのに、重症者数がまだ4百人とか五百人という段階で、病床がもう足りなくなったと世の中で大騒ぎになっていたのです」とある。

 

上表は、厚労省がまとめているコロナ患者の療養状況、病床数等の調査結果であるが、この調査は一週間単位で行われており、1月20日時点で、療養者数が69,310人と最大となり、この時点での確保病床数は先の小林氏の挙げられている数字同様27,910と成っているので、比率から言えば病床(全)使用率は高々40%である。更に、重症者数を見れば、1,505人となっており、同病床数は、これも小林氏の数字3,600であるので、重症患者に対するその使用率も約42%と大差ない。
無論、県毎の違いはあり、全使用率の最大は、兵庫・福岡の79%で、大阪75%、東京74%である。一方、重症者のそれは、東京は107%と一応なっているが、これは都独自基準であり国基準に直せば、64%とされる。この点、大阪と埼玉が、同じ64%で最大の使用率となっている。
従って、何れの使用率をみても、(国基準では)「病床がひっ迫」しているという状況からは、程遠い数字である。

しかし、何故、このピーク字の重症者数の3分の1程度の4・5百人レベルで大騒ぎになっていたのか

小林氏は『厚労省は昨夏、都道府県に医療体制の整備状況について全国的な調査を行(い)・・・結果、全国には十分なベッドが確保されている筈でした。所が12月になって判明したのは・・・お役所仕事で、返ってきたアンケートを集計して筋を積み上げただけのペーパーワークで・・・実現性をキチンとチェックせず・・・「張り子の虎」でしかありませんでした。(先の)官僚は怒りの持って行き場がなく、顔見知りの私に向かって訴えて来たわけです』と述べられている。

正しく、既メール(2020/05/07)で「(2020年)3月2日に、持ち回りで開催された第5回専門家会議の為に西浦教授が2月29日に策定されたものであり、それには、「各都道府県において・・・医療体制の整備を行う・・・医療体制を確保するための参考として示す仮定の流行シナリオ」に対して示された病床数の表に対し、「上ガバナンス研所長が、この数字は全ての数字ですから、当然、稼働中/予備用にも確保しおく必要があり、コロナ対策として活用できるのはせいぜい2割と見ても多い位では等発言されていた記憶があります」と既述していたとおりの事であり、続く、2020/05/18の既メールにおいては、この表に対して「5/1に厚労省が公表しているコロナ用病床数である。細かくて見えないが、ピーク時要確保数が31,077で、確保数が14,486である。別途、ホテル等可能室数が16,113とある。東京は4,000、2,000、2,865である。この表には、各都道府県が見込んでいるピーク時及び医療機関と調整済みの数とある。~厚労省は報告を受けた、だけの様である。何時かのメールで記述したと思うが、西村大臣は4/10当たりに、全国20万室確保したと発言した筈である。既メール5/7の通り、東京におけるICU室は、表では1,567室だが100人程度の重症者で医療崩壊寸前であった。この表にも東京における病床数は書いて有るのだが、外計か内計か、素人には分りかねる表の作りとなっているので“医療供給体制”が対コロナ感染者(との関係で)如何なる状況にあったのか判然としないが、少なくとも、国・公的病院63で25,760床とある。で、その表が持ち回りされた日以降、少なくとも2~3日中には、そのうち何床が対コロナ利用可能かとの積算は出来なくてはならないであろう。~戦力がどの位かも分らずに開戦など出来ないではないか」として、更に、上表の原型とも言える確保病床数・想定患者数・確保宿泊施設数だけの表に対し、「厚労省が報告を受けてまとめだけの様である。~総合調整機能はその位の物なのか~天の声とは少し違うようなのであるが」と既述している。
一国民が昨5月時点で分る,推量出来た事が、幾ら省庁が違うと言え、中央官僚が12月時点にならなくては怒りを覚えない、と言う事があるのかとむしろ奇異に感ずる。

しかも、小林氏は、続けて「・・実は、夏の終り頃には大阪のある大学病院の教授・・・の話しを聞いて、この冬は病床が足りなくなるかも知れないと思い・・キャノングローバル戦略研究所に勉強会を立ち上げ、・・「医療供給体制の崩壊を防止し、経済社旗活動への影響を最小化するための6つの緊急宣言」(9月25日作成)というレポートをまとめました。・・・こうした話しは、同じ頃、調査にあたった厚労省には当然聞こえていた筈です。それなのに数字を積み上げていただけだったとすれば罪深い。・・・厚労省は都道府県から上がって来た病床確保の数字(を)・・精査できないままに計画をまとめ・・結果的に・・政府内に大きな混乱を巻き起こしたのでした」と述べられている。

既メール(2020/08/05)において、「政治家が自分の選出母体を大事にする。役人が、自分の権限内で行動し、越権行為を冒さない~非難されるべき余地はない。しかし、合成の誤謬という概念がある。部分、部分が最適行動を取っていたとしても、総体の結果が最適かと言えば、必ずしもそうでない事があると言う事である。・・・・今こそ、各政治家が各出身母体を大事にするように、各官僚が自らの各権能を十二分に行使しているように、各政治家が国民全体を見て、各官僚がそれぞれの権能の全体像を見て、コロナ戦を各“地域”で戦う各自治体に対し、何が“総合調整”機能としてPUSH型で支援助成提供しうるのかの全体像を明らかにし、それを広く国民に知らせ、そして、国民の協力を仰ぐようにすべき時だと強く感じる。」と既述しているが、“政権”は、国民一般には、“自助”“緊張感”を求めているだけというのが実現状だったのではないか

小林氏は続けて、“司令塔があいまいな日本”として、
『医療供給体制の問題も、厚労省の外から口を出せない雰囲気があり、分科会からはほとんど意見を言いません。私はこれに関して疑問を感じています。
・・・1月5日に分科会から・・提言を出す前に、私と大阪大学教授の大竹文雄さん(経済学者)から「緊急事態で飲食店に厳しい私権制約をするのだから、政府に対しても医療供給体制を拡充すべきだと言った方が良い」と意見を出した(が)・・退けられました。
「これを書くと、いろいろハレーションが起こるので書けないんですよ」と言うのです。
・・分科会の関心は「国民の行動を変えること」に集中し・・感染症専門家・・には、医療行政(厚労省・保健所)や医療界への遠慮があ(り)・・厚労省の村社会の論理への配慮なのかも知れませんが、・・医療提供体制の拡充を訴えたりするのは、残念ながら申し訳程度で、自分たちがやるのは国民の行動を変えることだけと自己規定しているかのように見えます。
敵はコロナなのに、持ち場を狭く{する}・・村社会の論理を感じ・・尾見会長は「・・・政府がチャントやってくれる提言をしないといけない。政府ができない事をいくら述べてもしようがない」(と言いますが)、・・・政府の意向を慮って提言が弱まったり遅れたりしなかったとは言い切れません』とも述べられています。

先の8/5メールにおいては、“総体組織”として、閣僚会議・対策本部・有識者会議・諮問委員会・分科会・アドバイサリーボード等々、特措法を中心とした様々な機関の(体系になっているのかどうかは別途)“絡み合い”を示していた。
正しく、“医療提供体制の拡充を訴え”たりするのは、医療関係・“感染症村”の住民でない、経済・人文関係の小林教授や大竹教授なのである。
国民の為に既得権益を打ち壊す事ができるのは、ことコロナ戦に関する限り、“閣僚会議・対策本部”及びその長、以外いないのではないか

そして、小林氏は“第三波の教訓”として
「今後のコロナ対策の大戦略は、まず、東京都での新規感染者数が1日百人程度になるまで、感染レベルを下げる事(一日5百人は多すぎる)
次に①医療提供体制の拡充②検査態勢の拡充③接触確認アプリの普及の3点セットで感染を低レベルに抑え込み、その上で経済の正常化を段階的に進める事です。」
と述べた上で、
「最悪の事態を想定した政策をスピーデイ―に打ち出し、試行錯誤を柔軟に繰り返して、政策を進化させることが必要だと考えます」と締めくくられている。

しかし、既に、3百人前後での解除が決定され、その後には、“専門家”が危惧する“リバウンド”“変異株”が、待受けていそうなのである。

“自助”では対応不可能なのである。
“公助”“共助”は、“自助”に続いて段階的にあるものではなく、三位一体として進められなければ“自助”は続かないのである。

試行錯誤ではない、その場の凌ぎの“政策的決断”だけでは、政策は迷走し続け進化するはずもない、と強く感じる。

所で、昨年の最初の緊急事態宣言に対しては、宣言前の3月末には感染はピークに達しており感染爆発を押さえる為の必要は無く、従ってSD8割りは必要なく、唯々、国民に経済的な莫大な負担を強いるだけのものであった。
従って、宣言は医療崩壊を避ける為のものであったことから、解除の目安・基準は医療体制の整備と相応的に決定されるものだ、との議論が、かしがましいものであった、と思う。


上のグラフは東京の、下のグラフは4県における新規感染者数の推定感染日を著わしたものであるが、最新日の2月15日ベースでは、東京だけの表が厚労省のHPには掲載されおらず、4県ベースのものしか無かったために掲載している。

これで見れば、感染(日)ピークは何れも12月末で有り、1/7からの緊急事態宣言は、先の事態発令同様、感染爆発を押さえる為には必要なく、単に、医療崩壊を押さえる為に必要だった、と言う事になる。

事実、東京の新規感染者数は1月7日の2、520人(都HP)が最大で有り、今回も1/7のHummer Dateから所謂2週間後に公表感染者のピークは来ていないのである。

医療体制が、整備されているならば、
飲食業等に多大な負担を蒙らせる事はなかった、
“3助”など必要なかった、
入院・宿泊施設にも入れず、あらた命を落とす人もいなかったろうに!

これが失政と言わずして何と言うのか。

無論、昨年の事態発令の際は、医療供給体制の整備に間に合っていなかった、と言う事は言えるかも知れない。

しかし、先の小林氏の如く、正しく、分科会メンバーとして参画し、意見・提言されておられるわけで有り、また、冒頭の木村氏の如き鋭い批判もある。

更に、先の緊急事態は不必要、即ち、SD8割り不要ではなかったかの議論に対しては、先の8/5のメールに添付した“総体組織“にも記載した山中教授も参画されるコロナ対策分析有識者会議において、スパコンを駆使して、その効果を分析されるはずではなかったのか
寡聞にして、どのような結論・取り纏めが為されているか見聞した事が無い。

【“西浦先生のいらっしゃらない世界”では、今まで、「政府の人達は『コロナ対策として○○をします』とは言うのですが『なぜ○○するのか』を説明しないし、『○○することで、△△というアウトカムを出す』という目標や狙いを一切言いませんでした。・・・・現実にはどんなに失敗していてもアナウンスの上では百戦百勝なわけですが、今回は『この目標(8割の人の外出を減らす)を目指します』と明言したからこそ『うまくいった、いかなかった』という議論が出来るわけです。このように議論の土台を作り、『評価が可能になった』こと自体が、日本の感染症対策においては巨大な前進なんです。」と述べられている】と、8/12のメールにおいて、岩田神戸大教授が指摘されている事を引用していたが、正しく、この評価無しに、今回の事態発令に突入し、今も、この「評価」なしに、解除に向かおうとしている。~政策が進化するわけはないのである。

このコロナ戦に突入するに当たり、従前のPandemicとは違い、明らかに、「目標や狙い」を定める事ができた~【国も都も、この様な数理モデルに基づく予測値は持っているはずであり、当然、その推測に基づいた対応策を採っているべきなのに、それらの数値に基づく国民への注意・警戒・自粛要請がないのは、国・都等が、それらの対策を迅速機敏に採っていないからだと勘ぐらざるを得なくなるという事になります。
病床は、現有能力に対し幾ら不足しているのか、人工呼吸器は、医師数は、看護師は、物流は、・・・・・・マスク不足・7億枚でも足りない・・・と言う様な事を言ってる場合ではない、と言う事態にならない事を祈るばかりです。】と、全く、無知蒙昧~今もそうであるが~だった3月30日の既メールにおいて記述している。

そして、先の岩田教授の引用の後に、「岩田教授の指摘する『評価が可能になった』というこの一点を欠けば、「巨大な前進」はたちまち「巨大な後退」に転じ、“深く複雑に絡みあった根”は今後とも、「壮大な合成の誤謬」を、自らの“Mission Creep”の内に生み出し続けて行くであろう」とも記述していました。

先の解除の際には、Hummer & Danceと言う英語が使われた。
総理が替わり、”自助“”共助“”公助“になった。
今回解除は、Reboundと変わっている。

状況対応的に次々と新しい言葉でもって、己の、それぞれの立場が“正当化”されていく。
新たな課題の内に、“Mission Creep”の内に、“敵はコロナなのに”の思いも化石化されてしまうのであろうか
との思いから、長文メールした次第です。

今後とも、事実の一つ一つを厳しく解明・究明・指摘・批判し、世論を喚起されていくよう期待しております。