東京感染者予測シュミレーション

前略
昨日メールしました、ケルマック・マッケンドリック型モデルに基づく、シュミレーションの再現を試み、以下のグラフを作成しました。


用いたβ及びγは同じ値を使用したのですが、見たところ、論文に掲載されていたグラフと、S(t)乃至R(t)の勾配具合が、やや、なだらかであり、数式の理解不足なり、シュミレーションのやり方に間違いがあるかも知れないのですが、一応、I(t)のピークなり、収束に至る推移は見て取れること、乃至、単なる試算に用いるためであり、感染推移の大雑破な把握には支障ないとものと考え、現下の都の状況に付いてのシュミレーションを同じやり方で行ってみました。
結果、得られた数値が、次の表です。



まず、感染者数は、今回の都の4月8日における予測数530人としました。これは、都人口を10百万人とすると0.53BP、即ち1万分の0.53と、圧倒的に微少な数です。~従って、昨日の都知事の要請にある、夜遊びする人達が絶えるわけがありません。
次に、感染率を表すβには0.2の数字を用いましたが、論文にあるインフルエンザ0.48に比べかなり低い値となっています。これは、昨日、山中教授がブログ発信に使われているもので、「8割の人は、他の人には感染させていない」と言われていた事から、使いました。

そして、γ、即ち回復期間の逆数ですが、このγ-1を21日としました。これは、報道を見ていますと、症状が軽い人でも、陰性になる・全快するのに2~3週間かかると言うことで、3週間21日としました。~中の17.5日をとっても結果にはそう大きな違いはなかった事もあります。

で、R0以下については、まず、


中の式の、基本再生産数と言われるもので、β/γで、表の通り、4.2とかなり大きい数字になります。これは、感染率βはインフルエンザと違い小さいものの、回復期間が同3.5日に比べ、コロナは上記長いためであり、論文のインフルエンザ1.7に比べ二倍以上となっています。
この点、以前、尾見副理事長がテレビで、数値が1以下であるから、感染拡大の懸念は今の所低いと解説されていた事があったかと記憶していて、これが、R0の話しをされていたのかどうか、その当時は、比較的軽症にすんでおり、感染期間が短く推定されていたのか、判然としません。
それで、この点に、関係あるかもしれないのが、表の、最右欄のI(t)の式です。
これは、上の論文の1行目にある、
  I(t)=I0*exp(β-γ)*t
の式で、人口S(t)=1の状態、感染者が対象人口に存在していない状態において、少数感染者が侵入したと仮定した場合で、その後の感染者は指数的に増加することが、昨日メールしたKMモデルの2番目の式を解く事で得られます。

で、実際のシュミレーションは、感染者I(t)がでると当然その分感染していない人口S(t)は減っていきますから、それを、モデルの3つの式で計算して行く訳です。(~モデルの3式は、非線形の連立常微分方程式ですから、数式解が求まるのかどうか、私の数学力では判りません。出ないからシュミレーションになるのかとも思いますが?)
が、これはS(t)=1という、閉鎖体系を前提とした計算ですから、常にS(t)=1、即ち、開放体系・感染させうる人は、限定されない・無数にいるとすれば、と言う前提の下では、これで、感染者数の計算は出来る事になります。

実は、3月21日メールにおいて感染者計算に用いた式も、これになっています。

、K=N*ΣM^T 
Σを連続関数にすれば,
K=N*ΣM^T=N*exp(T*LN(M)) ;LN,自然対数)
と、表されるからです。

で、実は、このM,一人から何人に感染させうるかとしたM、の事を、尾見理事長が1以下だと指摘されていたのかなとも思われ、γとは関係なかったのではとも思える訳です。

前提条件は以上の通りですが、シュミレーション結果をみると、まず、この開放体系では、T=0で530人の感染者がいれば、T=8で東京の人口になり、翌日には日本人口全体が感染します!

この数字は非現実的ですから、閉鎖体系のKMモデルの出番です。

KMモデルによると、都知事が言われている4000病床に対応するTは、530人と言う初期値からですと、15~16日です。2週間です!
一方、昨日メールしたピーク時感染者予測は、T=78、概ね3ヶ月で、430万人です!
終息には、T=365、1年かかります!


イタリア・スペインの感染爆発では、PCR検査のやり過ぎ・PCR検査での技術不足・医療体制の不備・予算カットによる医療施設の不足等、色々“原因”探しがされていますが、基本は、感染爆発したら、何もかも吹っ飛ぶ!という事だと思います。

先日、他番組に出演されていたイタリア・日本同時に医療活動している方が、イタリアの惨状を伝えると同時に、この日本“現状”を、「コロナと相性がいい!としか言いようがない」とある意味、驚嘆の念を含めて発言されていました。

幸い、T=38、感染者10万人となっても、本来的要入院感染者2万人、その内重症者1万人が人口呼吸器を必要としても、昨日の報道では、取敢えず、準備・在庫はある模様です。

とすれば、足りないのは、15千の病床・医師・看護師・技術士・・・・

430万人のピーク対応など出来ないのは当然です。
しかし、これから1~2ヶ月の間、少なくとも、イタリア/スペイン等の悲惨さ迄に至らない某かの準備は、まだ、可能な時間はあるはずです。

早速、夜遊び自粛に反発する“人達”の声が流されています。

一刻も早い、非常事態宣言をと医師会の会長の発言もあります。

ここまで、書いて来て、今日のニュースを見ていたら、インターパーク倉持先生が他局に出ておられ、病床10万を早急に整備する等医療体制が取り得れば、経済面での圧迫は掛けずに済むが、果たして、と発言されておられました。

ニューヨークで活躍されている女医の先生が、今の東京は3週間前のニューヨークを見ているようだと話されていました。ちなみに、ニューヨークは、2週間で500人弱から35千人の感染者と、上表シュミレーションより圧倒的に速いスピードで感染爆発しています。

一方、今の政府対応の“4月Ⅰ日”に緊急事態宣言をする“重大性はない”との判断を聞けば、件の全国学校一斉休校要請に見られる如く、場当たり的対応で、シナリオに基づいた準備を行っているか、極めて危惧されます。
しかし、もし、上述数字がそう場違いなものではないとすれば、そのような危惧を、一旦は脇に置いて、取敢えず、宣言をだし、感染爆発乃至その時期を多少でも先延ばしして、その間、対応策を実施していく、と言う事の方が、より、現実的になります。

従って、政府・都の対策対応がどのようなデーター・根拠・シナリオ等に基づくか、情報公開無しには、受け手の国民は、極めて安逸に受け止め、或いは信頼が置けないと自己防衛・買いだめに走るのは、当然の事になります。

貴番組の奮闘に期待する所です。 
                              
                              草々